フェラーリやポルシェの復活でメーカー戦争勃発! 2023年シーズンの世界耐久選手権(WEC)が激熱な予感 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■WEC(世界耐久選手権)の2023年シーズンの見どころを解説

■ポルシェやフェラーリ、BMWが参戦を表明している

■トヨタやプジョー、アルピーヌにも注目

WECに各メーカーが相次いで参戦を表明

 2023年は、ル・マン24時間が発祥100周年を迎え、非常に注目度が高まっている。また、それに合わせて各メーカーが、最上位クラスとなる「ハイパーカー」クラスでの参戦を相次いで表明している状況だ。

 スポーツカーの最高峰レースとして世界的に認知されるル・マン24時間レースだが、いくつかのメーカーがタイトルを争ったよりよき時代は、1990年代初頭に幕を降ろしたグループCカー時代を最後に、その後は最多でも3メーカーによる争いとなっていた。

 また、世界選手権もハイブリッド規定が実施された2012年まで開催されることはなく、現在につながるWEC(世界耐久選手権)は、アウディとトヨタの2メーカー体制で始まり、途中ポルシェが加入して3メーカー体制となったが、ハイブリッド技術の要求水準が高く、実際、電気モーター系の仕事量を8MJ(メガジュール)に規定した最終期の仕様では、まともに対応できていたのはトヨタとポルシェだけで、そのポルシェもフォーミュラEへの路線変更を理由にル・マン、WECから退いていた。

 現在のWECは、高性能スポーツカーを定義したハイパーカークラスを頂点に、プライベーターによるプロトタイプクラスのLMP2クラス、独自の耐久レース用GTカー規定を設定したLM-GTEクラスによる車両構成となっている。なお、LM-GTEクラスは、メーカーを対象としたLM-GTE PRO(プロ)クラスとプライベーターを対象としたLM-GTE AM(アマチュア)クラスに分けられている。

 興味深いのは、最高峰クラスのハイパーカークラスだが、じつはこのクラス、ハイブリッド車とガソリン車の混合クラスとして設定され、現状ハイブリッドカーで走っているのはトヨタのみである。ひとつには、車両の電動化(ハイブリッド化)技術が非常に難しく、メーカー規模での技術レベルでないと車両製作が困難で、しかも、ハイブリッド技術に関して世界をリードしているのがトヨタという現実を付け合わせると、トヨタ以外のメーカーが参戦する余地はほとんど皆無と言える状態になっているのである。

 逆に、ハイパーカークラスの隆盛化を図るFIAとACOは、ハイブリッド車に対する規制を厳しく設定し、逆に、ガソリン車に優勝争いができる戦闘力を与える規定とすることで、このクラスの成立を図ってきた経緯がある。ハイブリッド車に性能制限を課さないと、圧倒的なスピード差でレースを席巻してしまうことが明らかだったからだ。余談だが、こうした不利な条件下で2022年もWECタイトルを獲得、ル・マンにいたっては5連覇を成し遂げたトヨタの健闘は、賞賛に値するものと言えるだろう。


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