新品時は仮の姿だった! 交換後「慣らし」を経て真価を発揮するクルマのパーツ3選

この記事をまとめると

■「慣らし」が必要なパーツをピックアップ

■あまり馴染みがないが、「車高調キット」も慣らしという期間が存在する

■オイルに関しても新品よりも少し熱を入れたくらいの方が性能が発揮できると言われている

「新品だから即OK」とはいかないパーツのハナシ

新車はエンジンの慣らしをするとかしないとか論があるが、自動車メーカーから指定されていることもあるので「エンジンの慣らし」は確実に存在する。また、エンジン以外にも慣らしをしたほうがよいパーツもじつはあるのだ。

1)車高調キット

 車高調だけに限らず純正サスペンションにも共通して言えることだが、じつは慣らしが必要だ。とはいえ、特別な運転が必要なわけではなく、正確に言えば馴染んでくるとフィーリングが変わってくるのだ。これはゴム製シールが馴染んで抵抗が減るとか、シリンダー内部が研磨されることでスムースになるといった影響によって、徐々に動きが滑らかにになってくるからだ。

 また、スプリングも同様で、新品時から馴染むとやや車高も下がるし、段差でのあたりもソフトに感じられるようになってくる。

 先代86/BRZのワンメイクレースでは、サスペンションがTRD製に指定されていてスプリングも交換できなかった。そもそもかなりソフトな設定で少しでも張りのある状態のほうがタイムが出しやすいということで、有力チームは毎戦新品サスペンションを投入していたという情報もあるほど。

 一般的には、500~1500kmくらい走ると馴染んできて、乗り心地もよくなってくる。その状態がそのサスペンションの本来の性能なので、取り付けた直後のフィーリングだけで良し悪しを判断しないほうが良いだろう。

2)ブレーキパッド

 パッドはまずローターと馴染ませる必要がある。とくに中古ローターに新品パッドを取り付けると、少なからず中古ローターは表面がデコボコしているので、そこにフラットな新品パッドを取り付けると最初は接触する面積が少なく本来の性能を発揮できない。少し当たりがつくまで距離が必要だ。とはいえ、特別な操作は必要なく、普通に街乗りしていれば大丈夫。

 パッドの焼入れが必要という話もあるが、基本的には不要だ。無理に温度を上げる必要はなく、普通に乗れば大丈夫。早めにパッド本来の性能を出したいなら、短時間ギュッと踏むよりも、フルブレーキの半分以下の強さで長く減速するのがオススメ。ある程度の速度から踏力一定で「ギューーーーーン」と踏むイメージだ。

 距離でいうと、ブレーキを踏まずに高速道路をいくら走ってもブレーキはなじまないのでなんとも言えないが、街乗りだったら100kmも走れば十分にパッドは馴染んでくれるだろう。

 サーキット用パッドだと一度温度を上げることで、パッド内部の樹脂などを焼いて、そこから出るガスを排出。そうすると、そのあとフェードしにくくなるので、意図的に温度を上げることもある。そのときも全開で踏むと言うよりギューッと長く優しく踏んで行くと綺麗に皮膜を作りつつ温度を上げることができる。

3)オイル関係

 オイルは慣らしが特別必要ではないが、新品を入れた瞬間から効果があるわけではなく、ある程度温度が上がった状態を使うことでそのオイル本来の性能を発揮することがあるのだ。

 とくにミッションやデフオイルだとその傾向が強い。過去にLSD装着車でオイルと相性が合わず、交差点を曲がるときにバキバキとチャタリング音が発生したことがある。そこですぐにいつも使っているオイルに戻すと、チャタリングが収まり、1000kmほど走ったところでスムースにコーナリングできるようになった。

 それくらい、新しいオイルが効果を発揮するまでに距離が掛かることもある。入れた瞬間にそのオイルの優劣を判断するのではなく、しばらく使ってみてオイルの性能を判断してみてもらいたい。


加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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