販売終了から20年が経ったいまでも「最良のジムニーは2代目だ!」の声も多い! 2代目スズキ・ジムニーがいまだ愛されている理由 (2/2ページ)

改良と派生モデルによる豊富なバリエーション

デビュー後の進化

・第一期

 先ほどお伝えしたように2代目ジムニーはさまざまな改良が加えられ17年間販売されました。デビュー後、どのような改良が行われていったのでしょうか。

 最初の大きな改良は1983年に行われたマイナーチェンジでフロントブレーキがドラムからディスクへ変更(一部グレードはドラムを継続)されています。合わせてキャンパスドアが廃止となりました。

 1984年のマイナーチェンジではインパネの素材や室内装備が変更。エンジンも点火系などで細かい変更がなされています。

・第二期

 2代目の第二期と言われているのが2サイクルエンジンから4サイクルエンジンに変更された1986年から。このエンジンにはジムニー初となる電子制御燃料噴射装置も備わっていました。シリーズ初となるF5A型直3・4サイクルエンジンは最高出力42馬力(グロス)、最大トルク5.9kgmを誇り、新たに搭載された5速MTとの組み合わせで俊敏な加速力はもちろん、ジムニーに求められる登坂性能も大きく向上しました。

 とくに高速道路での走行時、静粛性が増したことはさらなる人気向上に繋がっています。また、フロントにディスクブレーキが装備されたことも大きなトピックスといえるでしょう。

 1987年にはターボ付き使用が追加され最高出力が52馬力(グロス)までアップしました。

・第三期

 4サイクルエンジン搭載に続く2代目の大きな改良は軽自動車の規格拡大が行われた1990年のマイナーチェンジ。このマイナーチェンジで前後バンパーを大型化。新たな軽自動車規格サイズへボディを拡大しました。同時にサスペンションスプリングやダンパーを改良したことで、乗り心地や操縦安定性の向上を実現しています。

 ボディの拡大とともに変更されたのがエンジン。660ccに拡大した新開発F6A型直3エンジンはインタークーラーを全車に装備。最高出力55馬力を誇っていました。

 このエンジンは、1991年の一部改良で最高出力が58馬力に向上。1995年のマイナーチェンジにより、アルトワークスらと同様の最高出力64馬力にまでアップしています。

・第四期

 見た目は別として、2代目が大きく変わったのが1995年のマイナーチェンジ。オンロード性能をさらに高めるため足まわりを一新したのです。初代から受け継いできたリーフリジットのサスペンションから3リンクリジットアクスル式コイルスプリング式へと変更。

 サスペンションの変更とともにシリーズ初となる5ナンバーの乗用車仕様が追加設定されています。この変更はジムニー最大のライバルとなった三菱のパジェロミニが登場したことが大きな要因となっています。

 初代比では快適性や乗用性が大きく向上した2代目でしたが、パジェロミニはジムニーよりもそれらの性能が高く、RVブームの真っ只中の当時、大きな人気を得ていたのです。

 マイナーチェンジでの変更はサスペンションだけでなく、エンジン、4WDシステム、3速ATの採用など多岐にわたっていました。また5ナンバーの乗用仕様は前後シートも改良。後席は人が乗ることを考慮し、上質なセパレートタイプのシートを装備しました。

ワイドボディを備えた普通車を設定

 2代目ジムニーのトピックスのひとつとしてワイドボディ版が設定されたことも挙げられます。初代にも輸出仕様をベースにしたジムニー8がラインアップされましたが販売は成功しませんでした。捲土重来というわけではないでしょうが、2代目をベースにいくつかの登録車が設定されましたので、そのモデルたちを紹介していきましょう。

 まず2代目の輸出仕様をベースに開発され1982年に登場したのがジムニー1000。ワイドなオーバーフェンダーや大型前後バンパーを装着。8スポークホワイトリムホイール&195SR 15インチタイヤでジムニーと見た目の差別化を図っていました。

 ボディバリエーションもジムニーに用意されていなかったピックアップ仕様を加えるなど計4タイプを用意。小型オフロードモデルとして注目を集めました。

 そんなジムニー1000は1984年に登場した発展版、ジムニー1300へバトンタッチします。ジムニー1300は、カルタスなどに搭載されていたG13A型1.3リッター直4エンジンを搭載。乗用性能を重視した5ナンバー車も設定されました。

 ただ、ジムニー1300は1988年に生産、および販売を終了。これは初代エスクードがデビューしたたことが大きな要因となりますが、ジムニーをベースとしたワイドボディの普通車は廃止されてしまいました。

 しかし、ジムニー1300の販売終了から5年後となる1993年、ジムニーシエラの車名を付けた普通車が突如復活!

 現行モデルにも設定されているシエラとは、オーストラリア向けの輸出仕様に使われていた名称です。名称が変わったとはいえ、その内容はほぼジムニー1300で、エンジンがG13B1.3リッター直4に変わったことが大きな違いです。

2代目の中古相場

 執筆時点での情報となりますが、2代目ジムニーの中古車は全国で870台が販売されており、中古相場は16〜225万円。年式や走行距離によって価格が異なりますが、200万円を超える車両はカスタムされたモデルが多く、ノーマル仕様でもっとも高い価格がついていたのは、1996年式で走行距離6.5万kmの中古車で185万円でした。

 エンジンが660ccとなった第三期以降のモデルは価格が高く、15万kmを超える走行距離の車両でも130万円ほどの値がつく車両が珍しくありません。一方、先代モデルとなる3代目の中古相場は10〜230万円。こちらも価格が高い車両はリフトアップなどのカスタムが施されており、ノーマルの車両で一番高値がついていたのが2015年式の走行距離0.7kmの中古車で198万円。

 2代目と比べ人気が劣ると言われる3代目は、年式が古いモデルであれば50〜100万円で状態が良い車両が購入できるなど、比較的リーズナブルな価格となっています。

 ただ、この3代目も人気は高くなりつつあるとのこと。購入するならいまが良い時期なのかもしれません。

まとめ

「最良のジムニーは2代目だ!」といまだに主張するジムニーファンは少なくありません。しかし、一概に2代目といっても改良時期により性能や内容が異なることがわかります。

 4代目である現行モデルのフォルムは初代や2代目の印象を備えていますが、4代目がいまだに高い人気を保持しているのは、2代目の存在があったからこそ。改めてですが、2代目ジムニーの存在はとてつもなく大きかったとの印象を受けました。


新着情報