エンジンパワーはアップ! チョイ乗り時のダメージはプラス! この寒い季節だけに「寒さ」がクルマに与える影響を考えてみた (2/2ページ)

冬場のチョイ乗りはダメージが増す

 では寒いことによるデメリットはないのかというとそんなことはない。

 まず寒いとバッテリーが弱くなる。低温になると、バッテリー内部の化学変化が弱まり、電圧が低下してしまうからだ。

 また寒い時期はエンジンの始動性も悪くなるので、始動時にガソリンが濃いめに噴射される。そのためチョイ乗りを繰り返すとガソリンでオイルが希釈され、オイルの劣化が早くなる(冬場のチョイ乗りはバッテリーにも厳しい)。

 そしてタイヤも寒いところが苦手。夏用タイヤだと外気温が7度を下まわると、グリップ力が一気に低下する傾向がある。

 タイヤ以外のゴム製品、樹脂パーツも寒い時期は硬化して割れやすくなったり、劣化しやすいので要注意。

 そして前述のとおり、寒くなると空気密度が高くなるので、じつは空気抵抗も増える。自転車=ロードバイクの世界では、寒くなると速度が遅くなるというのはよく知られているが、これは空気抵抗が増えるため。

 クルマの場合、低温になって空気密度が増えても、エンジンの吸入空気量が増えるメリットのほうが勝るので、タイムアップにつながるわけだが、空気抵抗が増えるのはひとつの事実(エアロパーツによるダウンフォースも増える)。

 そのほか、クーラントやウォッシャー液の凍結対策(濃度調整)も必要だし、ディーゼル車なら軽油も寒冷地用が必要になることも(じつはガソリンも夏用と冬用では揮発性が違う)。

 さらに融雪剤を撒いている地域では、シャシーの下まわりの防錆、洗浄にも気をつけたいところ。

 もちろん、オイルや水温が温まるまでの、暖機走行(止まったままの暖機運転ではない)も丁寧にやっておくことが、クルマを長持ちさせる秘訣になる。

 最後に、EVにも触れておこう。

 すでに説明したとおり、気温が低いとバッテリー内部の化学変化が弱まり、電圧が低下するという問題がある。

 そのため、バッテリーの温度を保つための「バッテリーヒーター」を備えているEVが多いが、このバッテリーヒーターのために電力を消費することになるので、どうしても冬場の走行距離は短くなる。

 おまけに、EVは室内を温めるためのヒーターにも、エンジンの熱を利用できないので、電力を使う。夏場にエアコンを使うより、冬場にヒーターを使った方が、電力の消費は多く、エアコンを使わない春や秋に比べ、冬場は10~15%ぐらいは電費が悪くなってしまう。そういう意味で、EVに限っては、冬場のほうが苦手かもしれない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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