【試乗】日本で売れば「国産車の驚異」となること間違いなし! 韓国の小型SUV「キア・ニロ」の完成度がヤバい (2/2ページ)

快適性も力強さも乗り心地も国産車と遜色ないレベル

 HEV、PHEV、そしてBEVと、デビュー時から新型ニロに3タイプの電動モデルを設定してきたキアだが、やはり気になるのはBEVの存在だろう。実際にそのステアリングを握ってみて感じた第一印象は、スペックシートから予想していた以上の力強さとスムースさだった。

 フロントに搭載されて前輪を駆動するエレクトリックモーターの最高出力は204馬力。最大トルクは255Nmと、とりたてて驚くべき数字ではないのだが、乾燥重量で1688kgという軽さも影響しているのだろう、発進直後の加速感は爽快のひとことに尽きる。ちなみにキアから発表されているデータによれば、0-100km/h加速は7.8秒。街中で流れをリードするには必要にして十分だろう。

 乗り心地の素晴らしさも、このニロEVの大きな魅力。今回はひとりでの乗車がほとんどだったが、それでもサスペンションの動きには落ち着きがあり、日常的に使用するオールラウンダーとしては疲れも最小限に抑えられる。ここで気になるのは、このニロEVの最大航続距離なのだが、これは約462km。搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は64.8kWhで、その充電にはACの普通充電では約2.5日を必要とするが、DCの急速充電器を使用すれば、10%の状態からでも80%までの充電を43分以内に実行することができる。

 それにしてもニロEVとは何と快適なクルマなのだろう。エンジン音がないのはあたりまえのことだが、そのほかのノイズや振動もじつに巧みに処理されている。ステアリングのフィーリングにも十分な手応えと正確さを感じるから、長距離の高速道路での移動や、あるいはワインディングロードの走りでも、精神的な疲れはないに等しい。ブレーキのフィーリングもじつに自然だ。HV、PHEV、そしてBEVの各々で、このような同様のフィーリングを生み出すための努力は相当なものだったに違いない。

 このBEVモデルでは、総ラゲッジ容量も495リットルが確保されるというから、仮に日本上陸を果たせば、コンパクトなクロスオーバー車としてその存在感は大きくクローズアップされるに違いない。

 はたしてキアのBEVが日本の道を走る日は訪れるのだろうか。個人的にはそれを大いに期待したいと感じた試乗だった。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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