【試乗】XトレイルはもちろんアリアにGT-RにフェアレディZまで! 日産車の実力を雪上で徹底チェックしてみた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■冬の恒例行事として日産はメディア向けに雪上試乗会を開催している

■話題の最新4WDシステム「e-4ORCE」は雪上でも氷上でも安定した性能を見せた

キックスやノートオーラの4WDモデルは車重が軽いので優秀なパフォーマンスを発揮した

日産の恒例行事である雪上試乗で話題の最新技術をチェック

 旬の日産車を氷上に連れ出して徹底的に走りをチェックする。「日産インテリジェント・ウインター・ドライブ」は、もはや僕の冬の恒例行事になっている。

 今年も、日本列島を襲った記録的な寒波のなか、それでいて当日は晴れやかな青空に恵まれるという、低ミュー路で日産車の素性を露わにするには絶好のコンディションであった試乗会当日、ドリフト三昧の日々を過ごしたのだ。

 今回の試乗でもっとも興味深かったのは、日産の伝家の宝刀「e-4ORCE」搭載車である。動力源をe-POWERとするエクストレイルと、純粋な電動車であるアリアが対象だ。日産は年を追うごとに4輪駆動力性能を熟成させてきており、「e-4ORCE」はその最新仕様である。

「e-4ORCE」の武器は、4本のタイヤの駆動力を緻密にコントロールすることにある。それぞれのタイヤのグリップ限界を演算し、ドライバーが求める挙動を実現する。

 ドライバーがステアリングを切り込めば「e-4ORCE」は、外輪の駆動トルクを高めて旋回モーメントを引き出してくれる。これまでのように前輪の横グリップだけを頼りに旋回するのではなく、タイヤそのものがヨーモーメントを絞り出すのだ。

 それでもヨーモーメントが不足していれば、内輪を制動させてノーズを引き込むという芸当もこなす。それはアイスバーンのような極低ミュー路でも顕著だ。たとえスケートリンクのような磨かれた路面でも、圧雪路であるかのようにスムースに旋回するのだ。タイミングさせ合わせてやれば、テールスライドさえ誘い出せる。狐につままれたような感覚に陥った。

「e-4ORCE」が生かされるのは、パワーソースが電気モーターであるからでもある。アクセルレスポンスが驚くほど鋭く、それでいて回転初期から最大パワーを発揮する電気モーターの特性によって、コンピュータが命令した瞬間に命令した量だけ駆動トルクが発揮される。まさに理想の駆動バランスが得られるのだ。

 だから、アクセルペダルの踏み込み量に対する反応が忠実だ。パワーが遅れてモタモタすることも、遅れてきた過剰なパワーにドカンと挙動が乱れることも少ない。電気モーターとの相性がいいのである。

 それはコーナリングだけでなく、発進加速も同様だ。たとえば速度0km/hからの発進は、一般的には駆動輪がわずかにスリップし、慌ててトラクションコントロールが介在、仮にFFベースのAWDだった場合は、前輪が空転したのちに後輪がアシストするというプロセスを経るのものの、「e-4ORCE」はアクセルペダルに足を乗せた瞬間に、4輪がほとんど空転することなくスルスルッと走り始めるのだ。

 加速Gが安定していると、旋回中の横Gも安定している。誤解を恐れずに言えば、まったく普通に、発進して曲がって止まるのである。

 この「e-4ORCE」の恩恵は電動車のアリアはもちろん、エクストレイルでも味わえる。そして、エクストレイルが搭載するe-POWERは、内燃機関を搭載していてもそれは発電機としての機能に限っており、VCターボが発電した電力をエネルギーとして電気モーターを駆動する。つまり、エクストレイルも走りそのものは電動車だ。そこに「e-4ORCE」が組み合わせられるので、雪上では先述したアリア同様に、高いパフォーマンスを発揮する。

 そして、質量の低さからエクストレイルのほうが旋回性能に優れていたこともわかった。大容量バッテリーを搭載する重量級のアリアには、旋回中の慣性が強く掛かるからである。


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