10年間での進化は凄まじかった!
今回はそんなアウトランダーPHEVの歴史を肌で感じる機会を得た。三菱自動車の岡崎製作所で開催された「PHEVファンミーティング」と同日に開催されたメディアツアーでの一幕である。
今回はまず旧型のアウトランダーPHEVに乗ったあと、現行型に乗るというスケジュールとなっていたが、筆者が乗ることができた旧型はアウトランダーPHEVのなかでも初期型のダイナミックシールドフェイスが採用される前のモデル。
押し出しの強いダイナミックシールドもいいけれど、初期型のような穏やかな顔つきも悪くないなあ、などと思いながら車内に乗り込むと内装の古臭さに驚きを覚えてしまった。
当時のアウトランダーはミドルクラスのSUVであり、現行型のようにフラッグシップモデルではなかったため、質感の違いを指摘するのはフェアではないが、メーターに備わる液晶も小さく、ナビは2DINサイズの小さなモニターを備えたものとなっており、10年の時間の流れを痛切に思い知らされた部分であったのだ。
そしてギヤをドライブに入れてアクセルを強めに踏み込むとモーター駆動らしい俊敏なスタートを決め、このダッシュ感はいまでも一級品であることを感じることができた。その一方でエンジンも元気よくまわりだし、まるでガソリンエンジンのような賑やかさになってしまったところには、10年の時間の流れを感じてしまったのは事実である。
その後はスラローム区間と高速周回路を走行したのだが、ややボディ剛性の緩さが気になりはしたものの(テスト車両が7万km超だったのも影響していたかもしれない)三菱自慢のS-AWCによる回頭性の高さや高速安定性はまだまだ一線級であることを実感できた。
ただ、この評価も新型に乗り換えるまでの話で、新型はかなり強めにアクセルを踏み込んでもエンジンがなかなか始動しないのはもちろんのこと、スラロームや高速周回路でも旧型をひとまわり以上上まわるポテンシャルを見せつけてくれたのだ。
決して旧型の完成度が低いというワケではなく、あくまで新型が大きく進化しているという話であるので旧型ユーザーは気を悪くしないでいただきたいが、やはり10年という時間の流れはクルマを大きく進化させるには十分すぎるものだったということなのだろう。
このように圧倒的な完成度を見せつけてくれた現行型アウトランダーPHEVだが、惜しむらくはPHEVということで、自宅で充電できる環境がないユーザーにとってはその本領を100%発揮できないという点だろう。
プリウスのようにPHEVだけでなく通常のハイブリッドモデルもラインアップすることができれば、アウトランダーの牙城を崩すのはかなり難しいものになるのではないだろうか?