伊・独・仏のどれが正解? 意外と知らないイタリア人が作った自動車メーカー「ブガッティ」の「国籍」とは (2/2ページ)

現在のブガッティはVW傘下のフランス車

 そのブガッティというブランドが突如復活したのは1987年のことだった。イタリア人実業家のロマーノ・アルティオーリが、イタリアのモデナにブガッティ・アウトモビリを設立。1991年にはエットーレ・ブガッティの生誕110周年を記念したスーパースポーツのEB110GTを発表し、翌1992年には高級4ドアサルーンのスタディモデル、EB112を披露するなど、その創立直後の活動は話題性に富んでいたが、結果的にアルティオーリの過剰な投資のために経営は破たん。154台のEB110シリーズを生産したのみで(諸説あり)、1995年に倒産した。ちなみにこの時代、すなわち第2期ブガッティはイタリアのメーカーだ。

 そして1998年になると、ブガッティはVWの傘下に収められることになる。本社が置かれたのは第1期ブガッティが幕を閉じた場所でもあるフランスのモルサイム。コンセプトカーではW型18気筒エンジンの搭載を提案し、実際のプロダクションモデルではW型16気筒+4ターボエンジンでオーバー400km/hの最高速を達成してみせた第3期ブガッティ。

 参考までに現在の本社施設は、エットーレが1856年に近隣のドリスアイムの地に建設したゲストハウスがそのまま使用されている。隣接する本社工場はアトリエと呼ばれ、ここから世界最高級の工業製品たるブガッティ車が世界にデリバリーされていくのだ。すなわち現在のブガッティはフランス車ということになる。

 だが、ブガッティの周囲にはこれからもさまざまな動きが待ち構えている。そのもっとも大きな話題はクロアチアのザグレブに本社がある、リマックとの合弁会社設立が決定したこと。この合弁会社ではリマックが55%、ポルシェが45%の株式を保有する条件となっている。ブガッティによれば、今後もブガッティ車の生産はモルサイムで継続されるとのこと。また、長期的にはリマックとの共同開発によるニューモデルの誕生も否定されてはいない。

 常にさまざまな話題を提供してくれるブガッティ。彼らからの次なるフランス発の話題は、はたしてどのようなものなのだろうか。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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