このゆるキャラがフェラーリってマジか! 「世界一醜いフェラーリ」の称号を得た「コンシソ」とは (2/2ページ)

走るためのモディファイと考えればアリ!?

 とはいえ、履きふるしたサンダルかのような平たいボディ、クルマに轢かれたカエルのようなフロントフェイス、それでいてミッドシップ特有のタイヤ配置など「個性的」「ユニーク」といったボキャブラリーではカバーしきれません。

 それゆえ、後に「もっとも醜い」なるレッテルが貼られてしまうのですが、これらはスポーツカーをアスリートのようにストイックに走らせるためのモディファイ。決して奇をてらっただけのデザインワークではないのです。

 たとえば、328のウェストラインから上をきれいさっぱり省いたことで、低重心化を図ることができるでしょう。もともと、エンジンの搭載位置が低くはない328の動的ネガを潰せること間違いありません。また、ブサイクに見えるフロントセクションも、重心から遠い部分の軽量化を目指したものと思われ、これまた運動性、とりわけ回頭性を大幅に向上させてくれるはず。

 そして、正確な寸法も不明なので推測しかできませんが、タイヤの位置もいくらか変わっていそうです。具体的には328よりもフロントのトレッドを狭くして、リヤは拡幅傾向ではないでしょうか。これは、ミッドシップパッケージの方向性としてより過激なものとなり「アスリート」としてサーキットを走るにはドンズバなセッティングにほかなりません。

 さらに、コンシソのアドバンテージとして見逃せないのが、屋根やドアを省き、電装やアメニティ装備も厳選した結果、ノーマル328から30%もの軽量化を実現しているところでしょう。1273kgとされているノーマル車重が、ざっと見積もっても900kgを割るかもしれないのですから、どう考えても「痛快な乗り物」になっていることは間違いありません。

 これまた推測でしかないのですが、メインのチューブラフレームは生かしつつもフロントとリヤのサブフレームは新造、または相当な軽量化がなされているのではないでしょうか。一口に300kgの軽量と言っても、ドアや屋根を外したくらいで賄いきれるものではないでしょう。実際の走りは別にしても、ミヒャラクの底力やセンスを感じさせるのは、こんな細部にありそうです。

 ともあれ、ここまでお読みになってもコンシソと328、どちらを選ぶかと聞いて前者と答える方は決して多くはいますまい。かくいう筆者だって、もちろん328を選びます。多少、運動性能が見劣りしたとしても328は文句なしに「カッコいい」のですから。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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