クジラクラウンと呼ばれた「4代目クラウン」は不人気? スペックや価格は? (2/2ページ)

クジラクラウンと他のクラウンを比較

3代目クラウン

 1967年にデビューした3代目クラウン。4代目と比べるとオーソドックスなデザインではありますが、フェンダートップで伸びやかなフォルムは決して保守的ではありませんでした。

 3代目の大きな特徴は7代目クラウンまで続くペリメーター・フレームを初めて採用したこと。ペリメーター・フレームとは補強部材によってフロアの回りを囲った軽量なセパレート・フレームのことです。

 このモデルはタクシーなどのニーズはもちろん、パーソナルカーとしての販売に力を入れるため「白いクラウン」というフレーズで宣伝展開を行いました。この宣伝戦略は効果があったようで、当時、街中には白いクラウンが溢れたといいます。

5代目クラウン

 販売不振に終わった4代目の後を受け、1974年に登場した5代目クラウン。スタイリングが評価されずに終わった4代目の反省を活かしたのか、とことんフォーマルなスタイリングを採用しました。

 5代目のトピックスといえば、歴代モデルで初となる4ドアピラードハードトップが追加されたこと。ハードトップの最上級グレードにはロイヤルサルーンが設定されています。

 また1976年にはディーゼル車も追加。後にディーゼル車としては日本で初めてAT車が設定されました。

不人気・失敗作とレッテルを貼られる理由

デザインの大幅変更が不評

 先程からお伝えしているように先進的なデザインでチャレンジした4代目は、高級車を求めるユーザーからそっぽを向かれてしまいます。販売的には大失敗とはいえないまでも成功したとは言えませんでした。

 5代目クラウンがおとなしめでフォーマルなスタイリングを採用し成功を収めたことからもわかるように、高級車には斬新過ぎるデザインで勝負することは上手い戦略ではないことを、トヨタが学ぶことになるモデルとなりました。

車内の視界の問題

 奇抜なデザイン以外にも4代目で不評だったのは実用面。スピンドルシェイプを採用したことで、運転席からの視界はイマイチ。見切りが悪いため狭い道などで取り回しが悪いとユーザーから酷評を受けました。

 そのためクラウンの購買層となるタクシー業界で不評を買ったことも、販売が成功しなかった大きな要因です。

現在では高評価も

 上記のような理由で4代目クラウンは、3代目や5代目のモデルサイクルより短いモデルライフを終えることになります。

 高級車を求めるユーザーは保守的な層が圧倒的に多かったことが理由ですが、現在、改めて4代目を見ると悪くないと思う方は多いのではないでしょうか。

 斬新とはいえデザインのバランスは悪くなく、当時のアメ車が有していたトレンドも取り入れるなど異端どころかカッコよく見えてしまいます。

 セダンもそうですが、2ドアハードトップやワゴンのカスタムに至ってはさらにスタイリッシュ。テレビドラマで4代目セダンが使用されていましたが、それはこのクルマの存在感や見た目に独自の雰囲気を有しているからなのでしょう。

クジラクラウンの価格相場

 ここまで4代目クラウンについて説明してきましたが、果たして現在、中古車を購入することはできるのでしょうか。

 通常通りクラウンの中古車を探しても、1970年代に販売されていた4代目を検索することはできません。購入を考える場合、旧車を専門に扱うお店から探す必要があります。

 そんな旧車専門店で販売されている4代目クラウンはわずか5台。前期型のセダン1台、後期型セダンが2台、ワゴンのカスタムが1台、2ドアハードトップが1台販売されていました。

 程度が良い中古車の場合、250万円が最安値。とくに状態が良さそうなセダンには350万円の値段がつけられています。140万円や160万円で販売されている車両もありますが、これらは主に部品取り車として売られているようです。

まとめ

 歴代クラウンにおいて異端な存在といえるのが4代目クラウン。結果的に販売は成功しませんでしたが、トヨタが新たな高級車像を提案するチャレンジを行ったことで大きな話題となりました。

 大きなチャレンジといえば現行クラウンも同様。大きなチャレンジを試みた現行クラウンが今後、どのように評価されていくのか楽しみです。


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