登場時は「777万円」がいまや最安グレードでも「1375万円」! GT-Rがマイチェンだけでここまで値上がりした理由 (2/2ページ)

2倍の価格になっても世界中から求められる声は年々増加中

 そもそも、GT-Rは16年以上に渡り、基本的なアーキテクチャは変わっていない。

 前述したように、最新モデルでは空力性能を向上させているしパワーも上がっている。モノコックボディについても2017年モデルでCピラーの形状が見直されたように改良は進んでいる。

 しかしながら、VR38DETT型3.8リッターV6ツインターボをフロントに置き、リヤにGR6型デュアルクラッチ6速トランスミッションを配するというパワートレインの基本構成は変わっていない。

 一般論でいえば、同一のアーキテクチャでここまで価格が上がってしまうというのは信じがたい部分もある。部品という意味での「原価」がそれほど上がっているとは考えづらいからだ。もっといえば、ロングセラーモデルであればもろもろの金型などが減価償却を迎え、帳簿上のコストも下がっている面があるだろう。

 実際、GT-Rとほぼ同時期にレクサスIS Fというハイパフォーマンスバージョンが登場している。5リッターV8エンジンと8速スポーツATを組み合わせたIS Fの当時価格は766万円で、GT-Rとほとんど同じ価格帯だった。

 そして、2022年にISにふたたび5リッターV8エンジンを積んだ「IS500 F SPORT Performance」が復活したが、その価格は850万円となっていた。これは、IS F比で1割増しといったイメージだ。似たようなハードウェアのスポーツモデルとして考えれば、レクサスの値付けは妥当だ。

 つまり、GT-Rが商品企画の本質を変えずに進化していたとすれば、NISMO版は別としても、標準グレードは1000万円くらいにとどまっているはずなのだ。

 逆にいえば、16年間の歴史においてこれほどまでにGT-Rのメーカー希望小売価格が上がっているというのは、商品企画、ターゲットユーザーが変化したと考えるべきだろう。もっとも、それは悪い意味ではない。

 ご存知のように、GT-Rの初期コンセプトを象徴するキーワードは「マルチパフォーマンス・スーパーカー」というものだった。「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」ためにトルクスプリット4WDや2ペダルのトランスミッションを採用したという面もあるだろう。

 しかしながら、この初期コンセプトに掲げられた「誰でも」の条件としては、スーパーカーを購入できる資金力が大前提なのも事実だろう。

 国産スポーツカーとして地道に進化させるのであれば、いまのGT-Rは1000万円程度の価格帯を狙うべきかもしれないが、日本を含めて世界的に富裕層が増加している(格差が大きくなっている)ことを鑑みれば、V6エンジンのマルチパフォーマンス・スーパーカーとしては2000万~3000万円が妥当な価格帯ともいえる。

 あくまで想像というか妄想であるが、現在のGT-Rはスーパーカーの購入層をターゲットに商品企画を進めているのだろう。対象となるのは2000万円以上をクルマに出せるユーザーであり、そうした目の肥えたユーザーが欲しくなるような品質感やストーリーがGT-Rには求められる。言い方を変えれば、GT-R NISMOは3000万円を出したくなるようなスーパーカーをリーズナブルな価格で提供しているクルマといえるのかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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