超低金利や残価率アップなどあの手この手! 新車の年度末決算セールは「ディーラーの思惑」を読むことが鍵だった (2/2ページ)

ディーラーによって特典や金利などはさまざま

 スズキの「かえるプラン」はメンテナンスパックが標準付帯されるところに注目してもらいたい。軽自動車ユーザーは新車が納車されると、その後のメンテナンス窓口を購入したディーラーではなく、街のガソリンスタンドや格安車検業者などにして費用を節約する傾向がある。また、軽自動車を現金一括払いで購入するなら、ナンバープレートを取得、つまり新規届け出申請だけした未使用状態の中古車を購入したほうが買い得感は高いので、正規ディーラーでは軽自動車はリセールバリューが高いこともあり、意外なほど残価設定ローンを利用して購入する人が多い。

 スズキとしてはメンテナンスパックを付帯することで、ディーラーでメンテナンス管理を行い、ローン完済後に車両返還されたときに認定中古車として販売するに足る管理の行きとどいた良質な車両(走行距離も制限かかるので)を計画的に確保したいという背景もあり、残価設定ローンに積極的とも聞いている。

 ホンダの場合は売れ筋のN-BOXやステップワゴン、ヴェゼルが対象外になっていることに注目してもらいたい。荒っぽい言い方をすれば、放っておいても売れる人気車に低金利ローンを設定して販売にカツ入れする必要はない。ZR-Vは新規投入車種という部分があるが、そのほかのフィットやN-WGNは明らかにカツ入れという意味合いが大きいだろう。

 また、いまどきとはいえ需給体制にも余裕があると考えていいだろう。フリードはモデル末期でそんなに遠くないタイミングでオーダーストップになるだろうから、モデルの新しいライバル、シエンタに支払い面で差をつける意味で対象になっているものと考えられる。

 デリカD:5の場合は、情報の残価率のアップが行われていれば(試算では3年で残価率は約60%になっていた)、そこに注目して欲しい。いまどきの残価設定ローンでは、実際の3年や5年後の予測相場より低めの残価率を設定するのが一般的。販売現場では完済前に下取り査定額で残債整理して乗り換え促進を行うのが常道となっている。

 そのなか、恣意的に残価率をアップしていれば、支払い途中での下取り査定での残債整理は難しくなるので、完済するまで身動きできないことになってしまう。結果的にはデリカD:5など三菱車へ再び乗り換えるなどディーラーとしては囲い込みが行いやすくなるのである。つまり、デリカD:5に惚れ込んでいたり、三菱車を乗り継いでいきたいという意思があれば、かなり買い得なプランであるといえるだろう。

 いわゆるディーラーローンは、メーカー系信販会社が金利の違いなどでいくつか持っている商品をディーラーが選ぶこともある。つまり、同じメーカーの看板を掲げていても、資本の異なる販売会社ならば、用意されるローン金利も異なることがある。トヨタ系や日産系、ホンダ系では、同じ地域内に資本の異なる販売会社が複数存在するので、いくつか店舗をまわって金利を確認するというのも一考である。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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