高速でやたらとブレーキランプが点くクルマが増えた! 手放せなくなるほど超便利な「ACC」のたったひとつのデメリットとは (2/2ページ)

頻繁にブレーキランプを点灯するクルマが増えた理由のひとつはACC

 すると、後続車もブレーキを踏むことになり、結果、交通の流れが淀んで、渋滞を引き起こすというわけだ。最近、スイスイ走っていられるような高速道路でも、やたらブレーキランプが点灯するクルマが増えた……と感じるひとつの理由がACCの作動というわけである。

 実際、高速道路で賢いACC付きのクルマをACCで走らせていると、ここはブレーキを踏まずに減速できるのに……という場面でも、ACCは頻繁に自車のブレーキランプを点灯している様子がうかがえるのである。ACCの便利さの裏側にある、ちょっとしたデメリットと言うべきだろうか。

 ところで、最新のACCには渋滞追従機能が付いている。渋滞にハマり、前車に続いて自車が停止。するとACCによってブレーキホールドされ、ブレーキペダルを踏み続けることなく自車は停止を保持。ここまではちょっと前のACCでも可能な制御となる。が、各自動車メーカー、車種の違いが出るのはここから。停止保持を行い、その後、ペダルなどの操作なしで自動発進、追従を開始してくれる停止保持時間が自動車メーカー、車種によって、けっこうな違いがあるのだ。

 たとえば国産Mクラスボックス型ミニバンの場合、最新の日産セレナのプロパイロット付きは約30秒(一般道で作動させてしまうと約3秒)、トヨタ・ノア&ヴォクシーはなんと約3分の停止保持を行ってくれるのだ。よほどの大渋滞、通行止めでない限り、セレナの約30秒でもほとんど自動運転的な停止保持→再発進、再追従走行のメリットが受けられるはずで、ノア&ヴォクシーの約3分なら十分すぎる停止保持時間と言っていい。

 ところが、国産Mクラスボックス型ミニバンの雄であるホンダ・ステップワゴンの渋滞追従型ACCの停止保持は約3秒と、かつてのACC並みの保持時間でしかないのである。ホンダに聞くと、3秒以上たったら、あくまで「ドライバーの意思で発進、追従するように」とのこと。3秒以上は機械、クルマ任せにはしない、という方針のようだ。もっとも、再発進の方法はアクセルペダルを軽く踏むなどすればいいだけで、大きな手間はいらない。が、どちらがより便利かと言えば、停止保持時間はある程度長いほうがいい……と感じる人も多いはずではないだろうか。数秒で停止保持が解除され、ブレーキを踏まなければならないACCだと、停止保持機能のありがたみも薄れるというものだ。

 ひとくくりにACC、渋滞保持機能と言っても、各自動車メーカー、車種によって使い勝手の差がけっこうあるので、ACCを最大限に使いこなした高速走行、ロングドライブを楽しみたいのなら、クルマの購入に当たり、そのあたりは事前に入念にチェックしたいところである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報