残価設定ローンの普及で交渉の余地がどんどん減っている新車販売現場! もはや次は「無人販売」の時代か (1/2ページ)

この記事をまとめると

■いろいろと変わりつつある新車販売の現場を紹介

■最近の商談は残価設定ローンの普及で月々の支払額を決めるだけのシンプルな交渉になっている

■人件費の高騰により、今後は無人の新車販売店が登場するかもしれない

好条件を引き出すなら新人セールススタッフとの商談がおすすめ

 いまはノルマという言い方はしないものの、新車販売セールススタッフには販売目標台数というものが設定される。メーカーと販売会社の間で年間での販売目標台数を設定し、それを販売スタッフの構成などを考慮して各営業所に振り分け、さらに各店舗スタッフに対しては経験年次などによりそれぞれ振り分けられ、まず個々の年間販売目標台数が設定される。そして、それをベースに各単月の店舗ベース、各セールススタッフベースでの販売目標台数が設定されるというのが、わかりやすい一例となる。

 ただ、ノルマとは言わないものの、月の販売目標台数が未達成になると、それが足切り基準となって販売マージン自体が支払われないといった話も聞いたことがある。この実績評価は受注台数ではなく、新規登録台数ベースとなるので、受注してもなかなか車両が来ないといった納期遅延の目立ついまどきでは、販売実績が読みにくく収入も不安定なものになりやすいようである。

 さらに、台数だけをガンガン売ればよいというわけではない。粗利管理というものもセールススタッフに課されており、値引きをできるだけ抑えて販売することも要求されている。薄利多売をするセールススタッフは優秀とはならないのである。

 新入社員として学卒入社した新人セールススタッフは、入社した年は経験年次ゼロとしてノーカウント、つまり販売目標台数は設定されないところもあるようだ。そのため、新規にこのような新人セールススタッフが配属となった店舗にとっては、新人セールススタッフの販売台数は販売目標台数のカウント対象外なので、ちょっとしたボーナスになっているようである。

 しかし、新人セールススタッフが新車を販売する唯一ともいえるのが、店頭にフリーで来店した客への販売促進活動ともいえる。仕事をはじめたころは、親戚や友人などからの引き合いもあるが、それも就職へのご祝儀程度ですぐなくなる。そのあとは、店を訪れるフリー(そこの店で買ったことがない、知り合いのセールススタフがいないなど)の来店客を待つことになる。過去には、辞めたセールススタッフの既納客をフォローするという売り方もあったが、たいていは先輩セールススタッフが引き継いでいたり、誰も引き継いでいないお客がいたとしても、個人情報保護法があるので単純にアプローチすることはなかなかできない。

 新車販売は新型コロナウイルス感染拡大の影響もそれほど受けていないとはいうものの、まったくフリーでディーラーを訪れるお客などはまだそれほど多くない。そのような状況なので、新人セールススタッフが接客できるようなフリー来店客がくると、新人の商談に上司や先輩がベッタリと同席し、逃さず受注につなげようとしてくる。意外な話だが、新人セールススタッフとの商談に持ち込めると、値引きも含んだ好条件がとくに出やすいのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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