長距離走行でドライバーを襲う「腰痛」! 地獄の痛みから解放される手段を考えた (1/3ページ)

この記事をまとめると

■長距離運転などで運転手に襲いかかる「腰痛」

■腰が痛くなる人に共通する姿勢やシート調節の際に重要な部分を紹介

■純正シートが合わなければ社外品のシートも選択肢のひとつ

腰痛と向き合いながら愛車との時間を過ごすために

 長時間運転などで腰の痛みを感じる人は少なくない。が、「たいしたことない」で済ませてしまう人が大半だ。

 最悪、治療も必要になるというのに……。放置すれば悪化しても、治ることはないのが腰痛。

 その仕組みを理解して、予防・改善策に取り組んでほしい。

ストレスが引き起こす腰痛の負のスパイラル

 ほとんどの人は、クルマに乗る際、シートを意識することはないだろう。しかし、長時間座り続けていて腰に痛みを感じた経験のある人は多く、慢性化している人も少なくない。

 それは、立っているときよりも座っているときのほうが腰に負担が加わっているため。また、座った状態は、腰だけでなく、内臓も圧迫すると言われている。ちなみに、長時間座って生じる「お尻」の痛みは、狭い空間で同じ姿勢を強いられることによる血行不良が原因で、いわゆる腰痛とは分けて考える必要がある。

 腰痛は何らかの原因で腰の神経が刺激されることによって引き起こされ、慢性化しやすい点も特徴だ。

 腰痛を感じて、余計な負荷をかけまいと、身体を長時間動かさないでいると、それが精神的なストレスに。精神的ストレスが続くと、今度は痛みを抑制する脳の働きが機能しなくなって神経が過敏になり、より腰痛を感じるようになり、さらに身体を動かさなくなってしまうという腰痛の悪循環が引き起こされるのだ。また、痛みのことばかり考えていることも、ストレスになって慢性化の原因になると言われている。

 最悪、身体を動かせないほど激しい痛みを覚えるケースもあり、この場合は、医療機関に相談して、適切な対処が必要になる。

不適切な座り方で崩れる背骨のS字ライン

 もう少し詳しく腰痛のメカニズムについて説明しよう。

 腰痛に大きくかかわっている身体の部位が、一般的に「背骨」と言われている脊椎(せきつい)だ。背骨は、身体を重力から支える役割を担っていて、頭蓋骨の後頭骨から骨盤まで約30個の椎骨(ついこつ)によって形成されている。

 背骨の骨と骨は関節で繋がっていて、その間には緩衝材の働きをする椎間板(ついかんばん)がある。背骨は成長に伴って徐々に曲がりはじめ、やがて緩やかなS字のカーブを描き、これは人間の二足歩行に必要なバランスをとるための形状となっている。

 こうした背骨の構成ゆえ、たとえば、シートの座り方が悪かったりすると、椎体が椎間板を圧迫するカタチに。神経が刺激されて腰痛が生じるのだ。

 そして、圧迫が長期間続けば、やがて椎間板は退化して真っ平らに。最悪のケースになると、その中の髄核=ずいかく(椎体と椎体の間でゴム製ボールのようにクッションの働きをしている粘着性の物質)が、流れ出してしまう、いわゆる“椎間板ヘルニア”を発症するのだった。

 普段、何気なく行っているシートに座るという行為は、じつは非常にデリケートで、気を遣わなければいけないことを認識する必要がある。


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