アウトランダー・CX-5・RAV4・アウトバックを乗り比べ! 国産最強ミドル級SUVの決定戦!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■国産ミドル級SUVを中谷明彦さんが比較試乗

■RAV4 PHEV、アウトランダーPHEV、CX-5 XD、レガシィ・アウトバックの4台を用意

■パワートレインや駆動方式などが異なるがそれぞれに良さがあった

国内市場で注目されている個性の異なる4台を試乗!

 国内外を問わず、いま自動車市場を牽引しているのは、SUV(スポーツユーティリティビークル)車だ。ひと口にSUVといっても、 オフロードを得意とするクロスカントリー系モデルからクーペスタイルのクロスオーバー系までジャンルはさまざまで、最近は環境に配慮したPHEV、HV車も相次いで登場している。さらにBEV(電気自動車)モデルの登場も輸入車を中心に相次いでいる状況だ。

 そこで今回は、国内市場でもっとも注目されている4台を集め、それぞれの個性や使い勝手、走りなどを比べてみる。

 SUVは、もともと「スペースユーティリティービークル」を略した車両と解釈され、3列シートのミニバンなどが主流だったが、ミニバンの枠に収まらないモデルの登場が相次ぎ、いまでは「スポーツユーティリティビークル」と定義され、 むしろミニバン系とは分割されてきている。

 今回用意されたのは環境追求型モデルとして大容量のバッテリーとプラグインハイブリッドシステムを搭載した「トヨタRAV4 PHEV(以下RAV4と表記)」に「 三菱アウトランダーPHEV(以下アウトランダー)」 の2台。

 さらに、使用燃料に低価格(といっても現在価格上昇傾向にあるが)の軽油を使えることで絶大な人気を維持するディーゼルエンジン搭載の「マツダCX-5XD(以下CX-5)」と、純ICE(内燃機関エンジン)搭載の
スバル・レガシィ・アウトバック(以下アウトバック)」 の合計4モデルだ。

 4車は、車体サイズや乗車定員などに差があり、マーケットで直接競合するモデル同士とは言えないが、いずれの車種も代表するグレードのモデルが揃えられた。

 また、全輪駆動AWDで統一している。車高の高いSUV車はとくに発進加速時においてピッチング変化により前輪荷重が減少し、駆動力を失いやすい。大きく取られる最低地上高を活かした悪路走破性を最大限発揮するためにもAWDは必須だといえる。

 前輪2輪駆動のFFレイアウトとして低コスト化した廉価グレードのSUVが市場の大半を占めているが、じつはAWDモデルを選択することで初めてSUVを「スポーツユーティリティビークル」と認知できるといっても過言ではない。

 テストステージは一般道。高速や市街地、ワインディングなど、ふだん走る道での日常的な使い勝手や走り、乗り味に特化してリポートする。

SUVのRAV4でも貫かれた“80点主義”

 RAV4は巨人トヨタがSUV市場を席巻するべく投入した力作だ。

 PHVは18.1kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、電気自動車として約95kmも走行可能な高い環境性能を誇る。フロントに最高出力182 馬力、最大トルク270N・mの高出力モーターを搭載。後輪にも54馬力/121N・mの駆動モーターを搭載していて4輪を駆動する。

 搭載するエンジンは燃焼効率41%を誇る高効率の2.5リッター直4ダイナミックフォースエンジンで、ハイブリッドモードで走行しても22.2km/Lという高燃費が得られる。

 その走りは、モーター発進による高トルクピックアップで小気味よく、1900kgという車両重量をまったく意に介さない軽快さを身上としている。

 ホイールベースは2690mmと4車のなかでは最小値だが、後席の足もとスペースにも余裕が感じられ、 新世代TNGAプラットフォームの有用性が際立っている。

 最低地上高は195mmで、これも4車中最小値だが、普段使いでの乗降性の良さなどを優先しているのだ。

 燃料タンクは容量55リットルと小型だが、燃費の良さと電動での航続距離の長さから、最長航続距離はモード燃費で1300km以上にも及ぶ。

 ハンドリング面でも際立った特性を見せる。コーナリングでのライントレース性が高く、安定性にも優れていて安心感が高い。スポーツモードを選択するとペダル応答性が高まり、スポーツ性が大きく高まるのも魅力だ。

 荷室トノカバーやロードノイズ低減などの課題もあるが、性能、価格、使い勝手など高い満足感が得られる。新世代トヨタの80点主義が活かされていた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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