昭和のディーラーオプション三種の神器のひとつ「ドアバイザー」が令和のいま脚光のナゼ? (2/2ページ)

いまさら感のある装備がいま注目されつつある

 ここまで見てくると、タバコを吸う人のマストアイテムのような存在のサイドバイザーは車内で喫煙する習慣のない人には縁のない用品のようにも見えるが、コロナ禍を経てその機能が見直されてきているのである。

 つまり、雨天時でも雨を気にせずに車内換気を促すことには変わらないのだが、新型コロナウイルスの感染拡大が進むなか、雨天時でもウイルス感染を防ぐための換気機能を高めるために装着するケースが増えてきていたのである。

 タクシーは、いまでは車内禁煙が当たり前だが、まだ車内で喫煙できたころの名残りもあり、運転席と助手席側後部ドアのみにサイドバイザーを装着するケースも多いが、現在は感染予防のための換気グッズとして重宝しているようである。また、コロナ禍となり、路線バスでも窓を少し開けての換気が常態化したので、路線バス用のサイドバイザーなども登場してきている。

 サイドバイザーは日本のみの用品ということはもちろんなく、北米で販売されているトヨタ車を見ると、すべての車種というわけでもないようだが、純正部品としてサイドバイザーがラインアップされていた。先日ロシアで反乱行為を行ったとして世界を騒がした、民間軍事会社ワグネル代表のプリゴジン氏の乗っていたクルマにもサイドバイザーが装着されていたのを、ニュース映像で確認している。

 フロアマットはだいたい1車種あたり複数のタイプが用意されているのが一般的。「かなり昔の話ですが、あるモデルでは公にはあまり知られていない“裏メニュー”的な格安フロアマットがありました。商談時に勧める一般的なタイプのほかに、レンタカーなどのフリートユースや法人営業車用に、ゴムマットではないものの、一般的に勧められるマットよりリーズナブルなフロアマットが用意されてていました。商談の大詰めでどうしてもわずかにお客様が希望する値引きに到達しないときに、”フロアマットからも値引きしますので、これでご勘弁を”として、裏メニューのフロアマットにすり替えることもありました。当時、アクセサリーカタログなどはなかったので、お客様はどんな種類のマットがあるのか確認が難しいこともあって、随分助かりました」とは、当時を知る新車セールススタッフOB。

 フロアマットのように永久不滅のような用品がある一方で、必要性の賛否が論じられるサイドバイザーが、昭和時代の喫煙者のマストアイテムから、令和となり感染症予防対策効果という視点で注目されているのはじつに興味深い。ひょっとしたら半レースカバーも想像もつかないアプローチで再び脚光を浴びるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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