夏の移動が「クルマなのに地獄」ってどういうこと!? なんなら歩いたほうがラクまである「真夏の旧車ライフ」 (2/2ページ)

トラブルが起こるかどうかはもはや神のみぞ知る⁉︎

パーコレーション

 現代のクルマにしか乗ったことがない方であれば「パーコレーションって何?」というくらい馴染みが薄いかもしれません。それもそのはず、キャブレター仕様のクルマに起こりやすい現象だからです。いちど発生してしまうとエンジンが冷えるまで直らないことが多く、無理矢理走らせてもすぐにエンストしてしまったり、再始動が困難になることもあります。

エアコンやクーラーの故障や機能低下

 エアコンガス切れや漏れ、温風しか出ないなど、まともに使えないということは旧車ではよくある話。エアコンガスを充填したはずなのにワンシーズンしかもたないとか、それでも冷えないので諦めたという旧車オーナーも少なくありません。

 この時期、開閉可能な三角窓の存在がどれほどありがたいか……。旧車オーナーには共感していただけるはずです。

内装のベタつき

 エアコンの効きがいまひとつだから窓を開けようと、パワーウインドウのスイッチを押したところ、指がベトつく。一部の輸入車に多い「内装のベタつき」です。経年劣化に加えて、高温によって内装の部品が溶け気味になっているのです。大衆車だけでなく、ウン千万円のスーパーカーでも起こります。「それでも好きでいられる?」という踏み絵でしょうか。果たして……?

窓落ち

 寝落ちではありません。「窓落ち」です。エアコンやクーラーが効かない、そもそも装備されていないとなれば、窓を開けて走るしかありません。そこへ追い打ちをかけるように、下ろした窓ガラスが上がってこない! こうなってしまうと外出先でクルマを停めて離れることもできません。大切にしていても起こりうるトラブルで、また簡単に直せないことも多く、なかなか頭の痛いトラブルといえます。

まとめ:人間がオーバーヒートすることもありうる?

「暑い・しんどい・疲れる(倒れる)」。多くの旧車乗りにとって、高温多湿の梅雨と夏の時期は苦行でしかありません。クルマだけでなく、人間のほうが先にオーバーヒートしかねません。そのため、とくに夏場は、ポータブル扇風機と中身を凍らせたペットボトルは必須アイテムといえます。

「そこまでして旧車に乗りたいの? 理解できない」と思われても無理はありません。この時期、旧車に乗っていて、片側2車線の道で信号待ちをしているとき、窓を閉め切って涼しそうにしている隣のドライバーと目が合うと「アンタ、よくやるよね……」という無言のメッセージがひしひしと伝わってきます。

 しかし、旧車にはこの時期の辛さを補って余りある魅力があるのもまた事実です。そうです。この時期さえ乗り越えれば、また思う存分、旧車の魅力を堪能できる季節がめぐってくるのですから。あとカレンダー1、2枚分の辛抱です。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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