ロールス・ロイスの伝統「シルバーシリーズ」! 100年以上前の「銀ピカマシン」が始まりだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ロールス・ロイスの各モデルの車名には「シルバー」の単語が使われることが多い

■「シルバー」を最初に使用したモデルは1906年のシルバーゴーストだった

■現在は存在しない「シルバー」の名を冠するモデルの復活を期待したい

1906年の「40/50HP」から始まる「シルバー」の車名

 イギリスの高級車メーカー、ロールス・ロイスの歴史を振り返っていくと、そこには車名に「シルバー」(銀色)の名が掲げられたモデルが数多く存在していることに気づくだろう。

 もっとも新しいところでは、2019年に当時のゴーストをベースに35台が生産された「シルバーゴーストコレクション」などの例があるが、これは1907年に発表された最初のシルバー、すなわち「シルバーゴースト」へのオマージュとして製作されたビスポークコレクション(特別仕様車)と説明されていた。

 それでは一連のシルバーシリーズの始まりにある、1907年式のシルバーゴーストとはどのようなモデルだったのだろうか。これは正確にはロールス・ロイスが1906年から1925年までの間に生産した「40/50HP」型車をベースとするもの。

 40/50HPとは、当時イギリスでは最高出力による課税が行われていたため、40馬力級の課税馬力と50馬力の実馬力を持つことを意味した車名。その実馬力は徐々に強化されていくが、ロールス・ロイスは正確な数字を公表することがなくなったので、その後は一部車種を除き、シルバーゴーストのように独自の車名が与えられるようになった。

 ちなみにこの6気筒エンジンを搭載する大型車、シルバーゴーストの後継は、「ファントムI」、「ファントムII」、「ファントムIII」と続く。

 話を車名に掲げられるシルバーの始まりへと戻そう。1906年のロンドン・オリンピア・ショーで発表された新型の40/50HP型は、しかしながらその高価な価格が直接の理由となり、販売は一向に奮わなかった。もちろんクルマそのものに問題があったわけではない。7000ccの直列6気筒エンジンは高性能であるばかりではなく、驚くほどの静粛性と低振動性を持ち、そのフィーリングから幽霊を意味するゴーストの名が選ばれたとされる。ファントムも同様に幽霊を意味する言葉である。

 さらにロールス・ロイスはプロモーションを兼ねて、1907年に開催された王立自動車クラブ主催の2000マイル・スコティッシュ・トライアルに参加。それにエントリーした登録番号「AX201」のゴーストは、ボディのほぼすべてをシルバーに塗り替えられ、「シルバーゴースト」と名づけられたのだった。

 結果、シルバーゴーストは、2000マイルを完走し、その後もいくつかの耐久イベントに参戦し、高級車市場で高い評価を得ることになるのだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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