この記事をまとめると
■ミニバンはひと昔前、2列目シートが回転する仕様が多く存在した
■最近ではほぼ絶滅したが、法規的な問題はとくにないとのこと
■最近のミニバンはゆったりしたシートが人気で、対面で座ると車酔いしやすい問題もある
ミニバンのシートはどうして回転しなくなった?
ミニバンというジャンル自体が定着したというか落ち着いた感はあって、装備についてもメーカー、車種問わず似たようなものが多かったりする。最近の実用ミニバンの特徴は扱いやすいボディと優れたパッケージング、どこに座っても快適なシートと言ったところだろうか。もちろん、ここに至るまではいろいろと試行錯誤があって、消えていった装備も多い。
なかでも大モノが回転対座シートだ。20年ぐらい前に国産車では絶滅してしまっているので、ご存じない方もいるかもしれないので説明しておくと、その名のとおり、2列目をグルリと反対側、つまり後ろ向きに回転させることができて、3列目と対面状態にできるシートのことを言う。歴史は古く、ワンボックス時代にはけっこう見かけたものである。
前を向けておけば普通に使えるし、大人数で楽しく移動したい場合は回転させて、リビング気分にできるというのが持ち味だった。いまなら車中泊やオートキャンプで活用できそうだが、なぜ絶滅してしまったのだろうか?
じつは個人的にも最近気になって、メーカーのシート開発担当に聞いてみたところ、まず法規は関係ないとのこと。走行中に後ろ向きになるというのが危険という判断なのかと思いきや、そうではなかった。これまた最近は見かけなくなった、ステーションワゴンにあった後ろ向きの3列目と同じような解釈なのだろう。
理由としては商品力の問題で、ミニバンとはいえそこまで大人数でいつも移動するわけではないし、いいと思って買ってはみたものの、結局は使わなくなってしまったという声も多かったとのこと。さらに回転させるための装置をシートに仕込まないといけないので、パッケージング的にも遜色が出てしまうし、車内で回転させるにはシートの形状が特殊になったり、サイズが小さくなってしまう。現在の主流はどの席もゆったりと大きくて、座り心地がいいのが当たり前なので、回転対座の仕組みを仕込むのはハンデとなるのだ。
そして、最後にもうひとつあるのが、意外に決定的で「酔いやすいから」。当然のことながら後ろ向きに乗っていると景色が後ろというか前に流れていくのはかなりの違和感。どこに向かっているか見えないのも拍車をかけていて、結局あっても使わなくなるのは当然なのかもしれない。