「R」でさえもメジャーに感じる! NSXの見かけたら奇跡レベルの「激レア」グレードたち (2/2ページ)

NSX-Rよりも希少なモデルが存在する

 その2年後の1997年、NSXはビッグマイナーチェンジを受けます。MT車のエンジンが3.2リッターのC32B型へ換装されると同時に、トランスミッションも6速MTへとグレードアップ。4速AT車は3リッターのC30A型で変わらなかったため、6速MT車の型式はNA2、4速AT車はNA1のままとなります。リトラクタブル式ヘッドライトをはじめとする外観にはほとんど変化がないものの、新形状のフロントアンダースポイラーや、ブレーキローター径のアップといった変更が行われました。

 そしてこのとき、新たなスポーティグレードとして設定されたのが「NSXタイプS」です。NSX-Rがサーキットベストとするなら、ワインディングベストを追求して誕生したのがNSXタイプSでした。新たにC32B型を搭載した6速MT車をベースに、エアコンなどの快適装備はそのままながら約45kgの軽量化を実現。

 さらに、タイプS専用のサスペンション、BBS製鍛造ホイール、MOMO製ステアリング、RECARO製フルバケットシートなどが装備され、標準モデルから約120万円のアップとなる1035万7000円で発売されました。

 このNSXタイプSをベースに、エアコンやオーディオなどを取り外して遮音素材も軽減するなど、約96kgの軽量化を達成したのがタイプS Zeroです。外観こそタイプSとの違いはないものの、さらにハードな仕様とした専用サスペンションを採用。サーキット走行を楽しむオーナー向けのチューニングベース車として、NSXタイプSより価格も抑えられて985万7000円で販売されましたが、あまりにもシンプルすぎた装備ゆえか販売台数は伸びず、NSX-R以上にレアなモデルとなっています。

 そして2001年、NSXはボディデザインを一新するビッグマイナーチェンジを受けます。ヘッドライトが固定式に改められたほか、前後バンパーやサイドスカート、リヤコンビネーションランプなどを変更。洗練されたフォルムへと進化したほか、全車にBBS製鍛造17インチホイールを標準装備、タイヤサイズも従来モデルから変更することで操縦安定性やコーナリング時の限界性能が高められました。

 この固定式ライトを持つ後期型でも、NSXタイプTやタイプSは継続して設定されていましたが、NSX自体のモデルライフが10年以上経過しており、市場における存在感は高いとはいえませんでした。1998年以降、日本国内におけるNSXの販売台数は全グレードを合わせても100台に満たず、そのうち約半分が標準モデルという状況でした。そんななか、2002年にNSX-Rが復活します。

 初代NSX-R(NA1型)は、1992年から1995年まで発売されました。約7年ぶりの登場となるNSX-Rは、新たにC32B型を搭載するNA2型をベースとし、従来と同じく徹底した軽量化を中心としてパフォーマンスをアップ。ドライカーボン製のエアダクト付きボンネットや専用リヤスポイラーをはじめ、専用フロントアンダーカバーやリヤディフューザーが採用されました。なお、このNA2型NSX-Rの登場と入れ替わるように、タイプS Zeroはラインアップから姿を消しています。

 そして、NSX史上、究極のレアモデルがNSX-Rをベースに開発されたNSX-R GTです。これはホンダが同時期のSUPER GTにNSXで参戦していた関係で、ホモロゲーション取得用に5台限定で販売されたもの。大型のフロントリップスポイラーをはじめとするカーボン製の前後バンパー、ルーフ上のエアダクトなどが標準装備されたスペシャルモデルでしたが、5000万円という車両価格もあり、実際に販売されたのは1台のみという究極のレア車両です。

 その後、NSXは2005年12月26日に全世界向け車両の生産を終了。15年間における総販売台数は約7400台で、そのうちNA1型NSX-Rは464台、NA2型NSX-Rは140台と言われています。

 一方、1997年から設定されたタイプSは約230台、もっとも販売された期間の長いタイプTは約200台に留まっています。


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