常に人気車に乗り続けることも可能な「お得感」のある残価設定ローン! ただし「債務」には違いがないので落とし穴には要注意!! (2/2ページ)

残価率が低いクルマを買うのは得策とは言い難い

 逆にカローラアクシオのノーマルエンジン車は、3年後の残価率が39%と低い。3年間で車両価格の61%を返済せねばならない。ルーミーは平均的で、3年後の残価率が47%になる。したがって、残価率が55%を超える人気車を選び、残価設定ローンを使って3〜5年で乗り替えれば、つねに少ない返済額で魅力的なクルマを使い続けられる。

トヨタ・ルーミーのフロントスタイリング

 販売会社にとっては、残価率の高い人気車は、残価設定ローンの返済を終えたあとに中古車として高値で売却できる。残価設定ローンを使って、残価率の高い新車を販売すると、販売会社の中古車部門のメリットも大きいわけだ。

 しかも、販売会社としては、残価設定ローンであれば3〜5年後の返済を終えた時点で、新車の購入を新たにユーザーに向けて提案できる。車両を返却して残価率の高いクルマを選ぶと、前述のように少ない出費で人気の新車が手に入るからだ。

 そのために、新型コロナウイルスの影響で納期が延びる前は、残価設定ローンには年率1.9〜2.9%といった低金利を設定することが多かった。販売会社にとって、新車が売れて中古車販売も潤うメリットがあるからだ。

自動車ローンの低金利を謳う折り込みチラシ

 ただし、ユーザーには注意点もある。3年間の返済額が新車価格の55%以上になると、つねに多額の債務を負担することだ。たとえば自分の過失で全損事故を発生させると面倒だ。車両保険金の全額をローンの返済に充てても、債務が残る場合がある。クルマを失って、なおかつローンの返済も続けなければならない。

フロント部分が大破した車のイメージ写真

 追突事故の被害者になった場合も同様だ。自分に過失がなくても、車両の損傷度合いに応じて、精算が発生する場合がある。大きな事故を経験した車両は中古車になったときの価値が下がるため、精算を行って補填するわけだ。相手方車両の保険では、残価設定ローンの精算まで補償されないから、自己負担になる場合がある。いずれにしても「多額の債務を負担している」という自覚を持つことが大切だ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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