素のままでも魅力あるのに! 全身整形されまくりで人気になった「ポンティアック・フィエロ」という悲しいアメ車 (2/2ページ)

じつはインディ500のペースカーにも採用されたこともある名車

 この樹脂パネルというボディこそ、レプリカメーカーに重宝がられたことは確かで、ひと皮むきさえすれば好みのアウタースキンをかぶせることができるのです。ちなみに、1986年にはそれまでのクーペスタイルに加え、ファストバックボディもラインアップ。このクォーターピラーをちゃっかりレプリカメイクに利用したモデルも少なくありません。

ポンティアック・フィエロのフロントスタイリング

 とにかく、フィエロをベースにしたレプリカは枚挙にいとまがなく、512BB、テスタロッサ、288GTO、F355といったフェラーリ軍団をはじめ、いささかパースに迷いがあるカウンタックや、出来のよさげなミウラ、あるいはウケ狙いとしか思えないブサイク加減のFXXなんて変わり種も。

 日本でもさまざまなレプリカが登場していますが、やはり本場アメリカの懐は深すぎる(笑)。

ポンティアック・フィエロをベースにしたフェラーリF355のレプリカ

 さて、すっかりベースの位置に甘んじている感のあるフィエロですが、同車の名誉のためにお伝えすると、じつは1984年のインディ500でペースカーに選ばれたという輝かしい歴史もあるのです。エアロパーツが追加されたレーシーなボディ、ターボでパワーアップされたエンジンなど、アメ車にとって最高の舞台を走るためにワンオフでスペシャルマシンが作られたのでした。

 もっとも、翌1985年にはほぼ同じスタイルのエアロや、ターボ搭載車も発売され大人気を博したとのこと。

ポンティアック・フィエロ・インディペースカーエディションのフロントスタイリング

 そんなエピソードを聞けば、出来の悪いレプリカなんか作るより、オリジナルのフィエロをパリっとレストアして乗り出す方が魅力的に思えてくるのは決して筆者だけにとどまらないはず。あるいは、インディ500をオマージュしたレストモッドなんていうのも今っぽいアイディアかもしれませんね!


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報