ラリージャパンの影の主役は勝田貴元! クラッシュからの「10回のSSウイン」で衝撃の速さを見せつけた (2/2ページ)

2024年のWRCはGRヤリス・ラリー1ハイブリッドと勝田に注目

 昼のサービスでマシンを修復した勝田は、GRヤリスRally1ハイブリッドを武器にSS5、SS6、SS7と3回連続でベストタイムをマーク。豊田スタジアムを舞台にしたSS8でも2番手タイムをマークした勝田は総合9番手で波乱のデイ2をフィニッシュしたのである。

ラリージャパンを走るトヨタGRヤリスRally1ハイブリッド

 その勢いはデイ3でも健在で、SS10、SS13、SS14、SS15と4回のSSウインを獲得したほか、SS9でセカンドベストをマークし、総合6番手に浮上。さらに、デイ4でも勝田の猛追は続き、SS19、SS21でSSウインを獲得したほか、SS17、SS18ではセカンドベストをマークし、総合5位でフィニッシュしたのである。

 最終SSを終えた勝田は「勝てる走りができただけに悔しいです」と語っていた。実際、計10回のSSウインを獲得した勝田のパフォーマンスは十分に優勝できるレベルであり、その手応えがあったからこそ、勝田は悔しい……という言葉を述べながらも、清々しい表情を見せることができたのではないだろうか。

ラリージャパン最終日の勝田貴元選手

 リザルトだけみれば、2022年大会で記録した3位に対して、2023年の大会は5位に終わったが、計10回のSSウイン獲得からも分かるように、勝田の成長がうかがえ、2022年のラリージャパンより2023年の大会のほうが価値のある内容だったように思う。

 同時に2024年のシーズンで勝田の優勝の可能性は一段と高くなったように思う。トヨタGAZOOレーシングWRTは、すでに2024年の体制を発表し、勝田はワークスノミネートでフル参戦を果たすこととなったが、これも勝田の勝算を見込んでのラインアップだ。

 2023年のラリージャパンでの戦いぶりを見て、勝田はワンランク上のレベルに達した。「勝田がついにWRCで初優勝!」。2024年のWRCではそんなニュースが飛び込んでくるに違いない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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