環境問題よりも一般ユーザーは日々の生活が大切! BEVはユーザーがメリットを感じなければ普及しない (1/2ページ)

この記事をまとめると

■海外の自動車メーカーはBEVモデルのラインアップを急激に増やし始めている

■「BEVに乗り換えてもメリットを感じない」ことが日本でのBEV普及を遅らせている

■日本メーカーのBEVがなかなか増えないのは消費者が利便性を感じないからだ

アメリカンSUVも右ハンドルEVで登場予定

 欧州、中国、韓国メーカーのBEV(バッテリー電気自動車)が日本国内で販売されるなか、アメリカのGM(ゼネラルモーターズ)の日本法人であるゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)は、2022年にアメリカ国内でデビューしたキャデラックブランドのクロスオーバーSUVのBEVとなる「リリック」を、2025年に日本国内でも発売すると発表した。しかも、右ハンドル仕様となるとのことである。

 日系メーカーの取り組む姿勢などについてはあえて言及しないが、日本国内でBEVの話題となると、とくに市販モデルレベルでは外資ブランドの存在が目立つと筆者は感じている。BEVをどう捉えるかは別としても、タイやインドネシアの都市部でも、東京よりもスピード感のある普及が進んでいる。

 いまの日本のBEVの状況を見ると、同じく海外に比べて普及スピードは遅いとされる「キャッシュレス決済」の普及と似ているような、日本独特の置かれている環境があるように感じた。

 コロナ禍前は、短期滞在ならば入国時に日本人はビザ取得が免除されていた中国は、いまでは短期の観光目的でもビザ取得が必要となっている。しかも、取得までは厳しい審査があって、さらに発給まで長期間かかるようになっており、ふらっと観光といった目的ではまず発給されないともいわれている。

 現地駐在員がスパイ容疑で身柄拘束されるなどリスクが高いので、よほどの用事がなければ中国を訪れようという人はまずいないだろうが、さらに外国人を悩ますのが、過度なドメスティック(中国国内限定)なキャッシュレス決済の普及があるようだ。中国でキャッシュレス決済といえば、スマホアプリによるQRコード決済がメインというかほとんどとなっていると聞く。

 中国政府がキャッシュレス決済をここまで普及させる背景はさまざまあるようだが、現状では、短期滞在の外国人では半ばお手上げともいえるキャッシュレス決済は、中国の人にとっては現金決済がメインだったころよりは少なくとも日常生活は飛躍的に便利になったようだ。

 かつて中国の飲食店や商店の店員で現金を扱えるスタッフはかなり限定されていた。小規模飲食店ならばオーナーのような人が“キャッシャー”として唯一現金を扱っていた。現金が絡む不正行為の横行を防ぐ意味があったようだ。それだけ現金を扱うには慎重さが必要で面倒なことが多かったのである。

 そのようなこともあり、街なかには自動販売機もほとんど存在しなかった。しかし、キャッシュレスが進むと街なかにはキャッシュレス決済専用の自動販売機や、宅配ポストなど日本のような光景が一気に増えた。つまり、自動販売機を例に挙げたが、キャッシュレス決済の普及により、目に見えて生活が便利になったのである。

 筆者が見てきたかぎりでは、アメリカやロシアなど世界の新車ディーラーでは、店内に銀行の窓口のような“キャッシャー”が存在し、現金決済はその窓口でしかできないようになっている。日本ではセールスマンが新車代金を、メカニックが整備代金や部品代を集金するのは当たり前だが、諸外国では現金に関するトラブルを防ぐ意味で、現金の支払いはキャッシャーでの一括受け付けとしているのである。

 日本でも車両代金の持ち逃げなどがまったくないわけではないが、諸外国では日本の比ではないほど現金の持ち逃げなどの不正行為に気を付けなければならないのだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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