タクシー運転士不足が解消気味……と思ったらトラックからの転職組が多数! 輸送業界全体でみればドライバー不足問題は山積み (2/2ページ)

タクシードライバーはトラックよりもメリットが大きい!?

 ほかにも、まさに働き方の違いもあるようだ。トラック輸送といってもさまざまな大きさのトラックや勤務形態があるが、なかには車庫を出たら1週間は自宅に帰ることができないというシフトもあると聞く。

「少々昔の話ですが、大型トラックの運転士からタクシー運転士に転職した人がいたそうです。ある日、帰庫したときにそのドライバーさんが事務所の管理者に『俺は以前トラックを運転していたけど、タクシーは毎日自宅に帰ることができるから気が楽だ、そして自分の腕次第で稼ぐこともできる』と語っていました」、とは元業界関係者。

 地域によっては、現状タクシー事業者の求人に応募してくる人の4割がトラックドライバーだという話も聞いている。

 タクシー業界は、ここのところ各地で運賃の値上げを行っている。運賃自体を上げるのではなく、初乗り料金は変えずに初乗り距離を縮めたり、爾後(じご)料金(距離加算料金)では加算される距離を縮めたり、迎車回送料金の値上げなどを行っているのだが、そのため“ウハウハ”とはいかないまでも収益改善が進んでいるとも事情通は語ってくれた。

 タクシー運転士が増えることは歓迎すべきことだが、その運転士の供給元がトラック輸送業界ということになると、貨物、旅客も含め自動車輸送業界内でドライバーの奪い合いを行っているようにも見え、自動車により貨物や旅客輸送の“2024年問題”解決どころか、より事態を深刻化させているようにも見える。

 労働環境の改善も大切だが、その前にはやはり目に見える賃金アップの実現が必要なのではないだろうか。そうしないと、給与での歩合給部分の多いタクシー業界にトラックだけではなく、バスドライバーまで流れてくることになるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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