「え? 昔は合法だったのにダメなの??」昭和オヤジ困惑! 時代と共に「違法化」「合法化」されたクルマの装備6つ (2/2ページ)

厳しくなるばかりではなく緩和された保安基準もある

<規制緩和でOKになった装備>

 今度は、昔はダメだったけど、規制の改正・緩和でOKになったものを紹介していきましょう。

■その1:シーケンシャル・ウインカー

 その昔、「ローリング族」なんていう呼び名が付けられた、峠や工業地帯などを走りまわって速さを競う「走り屋」たちが溢れていた時代がありました。そんな時代に、ウインカーを通常の2倍くらいの速度で点滅させる「ハイフラッシャー」という装置を付けるのが流行りました。

「速いヤツはウインカーも速いんだゼ」といっていたかどうかは知りませんが、オートバイもクルマも、こぞって速いウインカーにしていたのを覚えています。

 あの「ハイフラ」、実際はほとんどのケースが保安基準・不適合だったと思います。ウインカーの点滅速度は保安基準で1分間に60〜120回の範囲とする、と定められた数値があります。最大でも1秒間で「パッパッ」というリズムです。あの頃の「ハイフラ」は「パパパ」くらいのリズムでしたので、それは不適合ですね。

 さて、ウインカーにはそうして基準が設けられていますので、好き勝手なパターンで表示させて良いわけではありません。カスタム好きの人のなかには、「点滅ではなくてイルミネーション看板のように流れるパターンにしてやればウケるかも……」なんて考えて、電子工作スキルをフル活用し、自作で流れるウインカーを作ってしまう猛者もいましたが、昔はそれも不適合のケースでした。

 その「流れるウインカー(連鎖式点灯またはシーケンシャル)」が緩和されてOKになったのが2014年です。これは、その数年前に開催された「国連欧州経済委員会(ECE)」の「自動車基準調和世界フォーラム」で「方向指示器に係る規定規則(第6号)」に関しての話し合いが行われ、その決議に国土交通省が国際協調したため、保安基準の細目が変更されたとのことです。

 シーケンシャルウインカーはOKとなりましたが、その動きには当然縛りがあります。まずは水平に配置されること。そしてその動きは車体の内から外へのパターンのみです。そして流れると言っても、数灯が移動していくパターンはNGで、内から外へ点灯が積み重なるパターンでなくてはなりません。

 あとは点灯全体の決まりとして、すべての点灯パターンは左右対称で、タイミングと動きがシンクロしていなければならず、一箇所でもズレているとNGとなります。また、点滅周期も一般の点滅と同じ60〜120回/分が適用されます。

 あと、ハザードの際も同じ動きでなくてはならないので、なんか違和感がありますよね。

■その2:DRL(デイ・ランニング・ライト)

「シーケンシャル・ウインカー」に続いて、2016年に「DRL(デイ・ランニング・ライト/昼間走行灯)」が認可されました。

「BMW」の「イカリング」と呼ばれたアレです。

 認可以降は、ほかの輸入車やこれまで装備されていなかった国産の車種にも採用されているので、いまでは「DRL」という総称が普及していますが、そもそもアレの認可とは何のこと? と疑問を持っている人もいるでしょう。

 それまで日本では、あのようなアクセサリー的なライトを「その他灯火類」という分類で扱っていました。その一方でヨーロッパでは、昔からデイライト=DRLとして、日中でも遠くから接近を認識できるように、明るいライトの装着が義務化されていました。そのころのヨーロッパ仕様の車種を日本で走らせるには、そのDRLを封じて販売していました。

 なぜそのDRLがダメだったのかというと、日本では「その他灯火類」の扱いとなり、明るさが300カンデラまでという制約を受けてしまうためです。ヨーロッパのDRLの基準では400〜1200カンデラとなっているため、まったく適合できなかったんです。

 それが認可されたことで、あの「イカリング」を皮切りに、各メーカーが特徴的な「DRL」でヘッドライトを飾るようになったというわけです。

 ちなみに、認可されたと言っても、後付けの場合は点灯の決まりや装着の基準などいろいろと規定がありますので、車検適合品を規定に合致する方法で装着しないと落検することもあるので注意が必要です。

■その3:サイド(出し)マフラー

 ほとんどの人がマフラーといえば車体の後ろの下側に出口が備えられているものという認識でしょう。ボディのサイドにマフラーの出口があるクルマなんて、トラックかレースマシンくらいなもの……。あと、ちょっとヤンチャな車高の低いクルマもたまにサイドから排気が出ているケースがありますが、一般の乗用車ではほぼ見かけることはないでしょう。

 そのサイド=側方にマフラー出口を設置することが、2017年に解禁されました。

 厳密には、

・右向き(または左向き)に開口してはならない。

・マフラーカッター(出口)の設置角度は、車両中央線に対して30度以内に収めること。

・マフラーからの排気ガスが他の交通に悪影響を与えないと認められるもの。

 という規定が廃止されたので、マフラーの出口をどの向きにしてもOKになりました。
※突出量や先端の形状については別途規定があります

「それっていったい、誰トクなの?」という疑問もあると思いますが、数が少ないながらも、リヤタイヤのすぐ後ろに横向きにマフラー出口を配置する大型SUVなどがアメリカでは販売されています。これはおそらく荷室や荷台への荷物の積み降ろしの際に邪魔にならないようにとの配慮だと思われますので、今後はリヤにハッチを備えた車両に採用されていくかもしれません。

 規制が緩和された理由ですが、クルマの排出する排気ガスがクリーンになってきたため、歩行者やほかの車両に排気ガスが向けられても以前ほどの支障は無いという背景があって、そこに外(ヨーロッパやアメリカ)の基準との協調を求める動きがあったことでの流れではないかと思われます。

 今回紹介した例はその一部ですが、こうして見てみると、クルマに関する法律も時代の要請に応じてその内容をフィットさせるように刻々と変化しているんだなということが実感させられますね。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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