FFのみ! ガソリンのみ! そして安い! ホンダWR-Vはありそうでなかった「潔い」SUVだった (2/2ページ)

装備と機能を絞って居住性とプライスに全振りしたWR-V

 WR-Vのもうひとつ特徴はシンプルな車体構成にある。パワートレインは1.5リッター4気筒のガソリンエンジンのみで、ハイブリッド(e:HEV)車は設定されない。そして、WR-Vが搭載するL15Z型1.5リッター4気筒は、ヴェゼルのGグレードが搭載するユニットと同じ。最高出力は118馬力/6600rpm、最大トルクは14.5kg-m/4300rpmというスペックも同一となっている。

 両車で異なるのは燃費(WLTCモード)で、WR-VのZおよびZ+が16.2km/Lであるのに対し、ヴェゼルGは17.0km/Lを誇る。WR-Vの燃費性能がやや物足りないのは、アイドリングストップ機構をはじめとした電子制御技術の採用が控えめだからだろう。

 また、駆動方式についてもWR-Vは明解だ。ヴェゼルにはFFと4WDの両方が用意されているのに対し、いかにもSUVらしいフォルムを持つWR-VはFFのみの設定となる。悪路走破性の高さをウリにする本格SUVではなく、SUV「風」のフォルムを持ち、多くの乗員や荷物を運ぶことを重視したピープルムーバー。そんな割り切りがWR-Vの特徴なのだ。

 日本国内市場における1.5〜2リッタークラスのSUVとして、ホンダはヴェゼルやZR-Vをすでに設定している。ハイブリッド(e:HEV)や4WD車がお望みの方はそちらをどうぞ、という姿勢は明らかだ。WR-VはホンダのSUVラインアップにおいて末弟に位置するモデルとして、それらよりも実用性や居住性、身近な車両価格を重視している。

 WR-Vに用意されている3グレードのうちもっともシンプルなXは209万8800円。真ん中のZが234万9600円で、もっとも上級なモデルであるZ+でも248万9300円だ。一方、ヴェゼルのボトムラインを担うGの車両価格は239万9100円(FF)で、WR-VのXとは約30万円の価格差がある。

 もっとも、ヴェゼルの販売実績においてガソリン車の比率はごくわずかで、数%に留まるという。販売の中心はハイブリッドシステムを搭載するe:HEV車で、車両価格帯は277万8600円からとなっている。

 つまり、ホンダにとって200〜250万円という価格帯のSUVは、ヴェゼルGが用意されているとはいえ事実上空白に近かった。それは市場のニーズがないからなのか、あるいは魅力的な製品がないから売れないのか。ホンダは後者と考えた結果、WR-Vを投入する。

 WR-Vの車名は、「Winsome Runabout Vehicle」の頭文字を組み合わせたもの。Winsomeとは「魅力的な」とか「愛嬌のある」という意味であり、つまりWR-Vはユーザーにとって親しみやすい、身近な存在のSUVであるということだ。そしてシンプルな外観と広大な室内を持つWR-Vは、若年層を中心にカスタムベースとしても人気となりそうだ。


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