先代で極めたスポーティさは苦手な人もいた!? 新型スイフトが目指したものをデザイナー陣に直撃した (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スズキの新型スイフトを担当したデザイナーにインタビューを行った

■当初のデザインを仕切り直して「ひと目見たら印象に残るデザイン」を目指した

■ボディカラーのこだわりやインテリアの造形についても語ってもらった

スポーティさ狙ったら「保守的」と却下

 スイフトと言えばスポーティなコンパクトカーとして人気がありますが、新型では「軽やかさ」や「スマートさ」といった新しい面も追求したいといいます。ではデザインの新しさはどこにあるのか、今回は担当デザイナーの3人の皆さんに話を聞いてみました。

仕切り直しで見つけたまったく新しい要素

──では最初に、デザインコンセプトは「一目見たら印象に残るデザイン」とありますが、その意図を教えてください。

「じつはデザインチーム内では『ハッとするデザイン』ともいっていたのですが、いずれもファーストインプレッションを重視した考えですね。過去4世代のなかではキープコンセプトもあったし、先代は歴代のスポーティさの完成形でもあった。そうした財産は生かしつつも、次はまた違う新しさが必要だと考えたワケです」。

──新型は、女性など歴代のスポーティな印象が「自分には合わない」とする層へも訴求するとしていますが、そこはどう配慮したのでしょう?

「じつは、当初は歴代のようなスポーティさを狙っていたのですが、役員から「保守的だ」とダメ出しがありまして(笑)。そこで、スポーティとは異なるファクターを求めて仕切り直し、短時間ながら4つの案にまとめることができました」。

──そこでラウンドしたショルダーとフェンダーの対比という提案が出たワケですね。

「はい。とりわけ、Z世代に身近なデジタルデバイスやファッションなどから『多面体』というテーマを導き出した。ただ、ショルダー面の「輪」でボディを引き締めてワイド感を強調するなど、デザインテーマは大きく変えつつも歴代のスポーティさはしっかり残しているんです」。

──そのショルダーラインの深さは場所によって異なります。もっと一様に深くした方がよかったのでは?

「そこは5ナンバーサイズという制約がありますので……。ただ、弊社は軽自動車のノウハウがあるので、与えられたサイズのなかではかなりの立体感が出せたと思います。具体的には、ライン下部のエッジをしっかり出すことで強さを出しています」。

──フロントでは、前に突き出したグリルと絞りの少ないヘッドライトが新しい表現ですね。

「キースケッチにもありますが、ボディの「多面体」のなかのひとつをグリル面としてボリュームをもたせ、そこを左右のフェンダーで挟み込んだ造形ですね。ヘッドライトはたしかに横への張り出しが大きいですが、これはフード部をしっかり絞っているからこそできる造形ですね」。

──そのグリルでは、下半分に置かれたメッキパーツがユニークですね。

「はい。じつはスケッチの段階ではメッキパーツは描かれていなくて、実際スタンダードグレードのXGには付いていません。ただ、仕様的な判断から上級グレードに追加することになったのですが、グリル内のレーダーなど機能的な理由から下半分のみになっているんです」。

──先代ではリアピラーの一部がボディ色でしたが、今回は完全にブラックアウトさせましたね。

「はい。先代は全身が筋肉質な造形で、その一部としてピラーがはみ出していましたが、新型ではラウンドしたキャラクターに合わせてスパッと切りました。じつはキースケッチには逆三角形のピラーが描かれていて、実際に試したものの、下が細くなっている形状から安定感が得られなかったんですね」。

──おや? と思ったのが、テールランプ下のボディが斜めにカットされている点です。

「あ、そこですね(笑)。本来はランプに合わせて水平にするところですが、それではまとまりはイイけど印象に残らない。ここは今回の「ハッとするデザイン」として動きを出したということです」。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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