好きな者だけが集まった楽園のハズが地獄と化す! クルマのオーナーズクラブ&オフ会のよくある壊滅過程とは (2/2ページ)

ひとりのせいで楽しいクラブが壊滅!

4)空気の読めないメンバーによる強い自己主張が常態化していく

 メンバーが増えてくるにつれて、さまざまな人がいろいろな意見を言うようになります。「次の定例ミーティングやオフ会はいつにする?」「ツーリングはどこに行く?」など。自分の意見はきっちり主張したり、ほかのメンバーの案を否定するけれど、代案を出さない(出せない)。そんな空気の読めない、でも自己主張だけは強いメンバーがはびこるようになると、さらにクラブ内に不穏な空気が。不思議なことに、この手の人に幹事を任せるとグダグダになるのも世の常だったりします。

5)そして空中分解の前兆が現れる

 表面上は平穏を保ちつつ、水面下ではバチバチ。そんな経験はありませんか? ここまでくると、グループの空中分解の前兆ともいえます。立ち上げ当初のような、ほのぼのとした空気には戻り(戻れ)ません。そして、おおむね以下のような流れをたどることになるのです。

5-1)代表者の権限・発言力の強さが増していく

 複数の人たちが集まる以上、自薦あるいは他薦、その経緯はさまざまであったとしても、オーナーズクラブ&オフ会の代表者となる人が自然と決まります。それでコトが丸く収まればいいのですが、現実にはなかなかそうもいきません。代表者の権限・発言力が日に日に強くなり、やがてほかのメンバーが口出しできないような雰囲気が色濃くなってきます。

5-2)代表者がメンバーの声に耳を傾けなくなる

「お山の大将」といえばそれまでですが、少なくとも複数の人たちが集まるオーナーズクラブ&オフ会の代表であることは確か。権限や発言力が増していくに連れて「みんなが俺の言うことを聞いてくれる。それ以外の奴は認めない」と勘違いをはじめます。この頃にはいかなる改善案を出しても耳を傾けなくなるなります。まさに聞く耳持たず。こうして「お山の大将」が「裸の王様」へと進化(退化)していくのです。

5-3)古参メンバーや取り巻きが威張りはじめる

 ここまで代表者の存在感が大きくなると、代表者を崇拝するメンバーと反勢力メンバーとで内部抗争・内部分裂が避けられない状況になってきます。いつのまにか代表者の取り巻きとなったメンバーまでもが威張るようになり、オーナーズクラブ&オフ会の統治をはじめます。もちろん、自分たちの都合のいいように。反勢力メンバーおよび中立メンバーの離脱がはじまるのもこのころです。

5-4)メンバー全員のLINEグループの他に裏グループが立ち上がる

 特定のオーナーズクラブ&オフ会の多くが、メンバー限定のLINEグループを作成していることが多く(古くはML/メーリングリストでした)、日々の雑談や情報交換、業務連絡などをメンバー全員で共有できるようになっています。LINEグループを立ち上げた頃はあれほど活発だったやり取りがいつの間にか週に数回になってきた頃、秘密裏に別のLINEグループが立ち上がっています。そしていつしかそちらがメインストリームに。

5-5)マウント合戦が表面化・本格化する

 裏グループの存在が「公然の秘密」となった頃、本家であるメンバー全員のLINEグループはマウント合戦の場と化していきます。Aさんがクルマを買い替えたとLINEしたところ、代表者よりも新しい(高い)クルマに買い替えた。お互いの勢力の行動をSNSなどでチェックし、自分たちの知らないところでオフ会やツーリングをしていたことをLINEにアップ。本来は楽しい交流の場であるはずのLINEグループが泥仕合の場となってしまいます。

5-6)分裂した別グループが勢いづくにつれ、本来のグループが弱体化していく

 当初は少数派だった反勢力メンバー・中立メンバーも、代表者と取り巻きのメンバーの横暴振りに嫌気が指して離脱が相次ぎ、いつしかメンバーの勢力が逆転していきます。メンバー全員のLINEグループもひとり抜け、またひとり抜けと、気づけばメンバーも数えるほどに。そしてお互いの主張や考えが相容れることのないまま「あまりにもばかばかしい」と、ふと我に返るのです。しかし、時すでに遅し。黒歴史が確定した瞬間です。

まとめ:そして歴史はまた繰り返される……

 台風の発生から終わりまでの過程は4つに分類されるそうです。具体的には「発生期」・「発達期」・「最盛期」・「衰弱期」の4つです。多くのオーナーズクラブ&オフ会もこれに該当するように思えます。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではありませんが、ひとつのグループが終わりを告げ、そして新たなグループが立ち上がります。そして悲しいかな、歴史はまた繰り返されるのです。

 多少の新陳代謝はあるにせよ、10年、20年、あるいはそれ以上続いている集まりは、もしかしたら奇跡のグループなのかもしれません。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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