アメ車だけはやっぱり「左ハン」で乗りたい! 日本仕様の「右ハンドル化」にもの申す (2/2ページ)

アメ車はやっぱり左でしょ!

 一方でアメリカGM(ゼネラルモーターズ)のシボレー・コルベットの現行正規輸入モデルは右ハンドル仕様となっている。世界戦略車の少ないアメリカンブランド車のなかで、コルベットはアメリカンブランド車の代表ともいえ、世界市場でも人気の高いモデルの1台。いままでのフロントエンジン&ロングノーズスタイルから、ミッドシップレイアウトのスーパーカースタイルに大変身してより世界戦略車臭を強めている。

 アメリカンブランド車自体は日本で正規輸入販売されているケースは少ないのだが、人気のジープブランド車は右ハンドル仕様が充実している。しかし、アメリカ車は日本への正規輸入車でも右ハンドル車が少なかった。「アメリカ国内で右ハンドル車が作れないから」という話も聞いたことがあるが、そもそも右ハンドル車をわざわざ日本でラインアップするほど台数が売れなかったということも大きかったようである。

 知り合いが1990年代に「ジャパンキラー」として名を馳せた初代クライスラー・ネオン(北米ではダッジ・ネオンもしくはプリマス・ネオンとして発売)を購入した。ジャパンキラーというぐらいなので、正規輸入モデルは右ハンドル車のみとなっていた。ただし、初期ロット(最初に出荷される分)のみ北米生産となり、以降はオーストリア(欧州)製になるとの情報が流れ、「アメリカ製ではないアメリカ車では意味がない」と知り合いは初期ロット車購入に奔走していた。ブランドにもよるのだが、左ハンドル車は北米生産であっても、右ハンドル車は欧州生産になるということもあった。

※写真は北米仕様のダッジ・ネオン

 筆者の知る限りではアメリカ車を好んで乗る人は、アメリカ文化にもおおいに憧れている傾向が目立つ。そうなると、アメリカ生産モデルであることが大前提で、しかも日本で使うのにアメリカと同じ左ハンドル仕様に憧れるのである。

 過去に日米貿易摩擦などともいわれ、いまほど日本メーカーがアメリカ現地生産を本格化させず日本からアメリカへの完成車輸出が多かったころ、日本でもアメリカ車販売を積極化させようと、キャデラックの一部車種で右ハンドル車を輸入したことがある。前後バンパーもでっぱりを少なくした日本仕様にすれば売れるだろうとの判断だったようなのだが、コアなアメリカ車ファンを中心に不満が出ていた。

 実際に乗るのか乗らないのかにかかわらず、「アメリカ車=左ハンドル」にこだわる人は多いようだ。当時はいまよりもはるかに円高傾向であったので、業者が安易にアメリカからアメリカ仕様(左ハンドル)を個人輸入して販売していたので、むしろ並行輸入車がよく売れていた。

 現行コルベットを運転したことがあるが、右ハンドルだからといって特別何か不満に思うことはない。ただし、やっぱり何か腑に落ちない部分もあった。いまは日本へのアメリカ仕様の個人輸出はそんなに簡単にできなくなったのだが、現行コルベットの左ハンドル仕様、つまりアメリカ仕様を日本で見かけたときにはなんだかワクワクしてしまった。

 広大な国土をもつアメリカでは、ボディサイズの大きいクルマの取りまわしも問題はないのだが、日本ではやはり手に余ることも多い。残念ながらアメリカ車の多くが日本では実用車になりえないため、趣味の対象となることも多いので、その点ではわざわざ右ハンドルにすることは馴染まないような気がしている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報