たとえ法定速度以下でも速い後続車に譲らないと違反の可能性あり! とはいえ難しい片側1車線道路での「上手い譲り方」とは (2/2ページ)

平坦で前後の見通しがいい場所が追い越しに適している

 では、安全に上手に進路を譲るには、どうすればよいのでしょうか。

 バックミラーに速いクルマが迫ってくる姿が見えると、焦ってしまい慌てて路肩に停車してしまう人もいるかもしれませんが、じつは追い越しをされる際に、禁止されている場所もあります。それが道路交通法第30条に定められている、「追越しを禁止する場所」で、道路標識等によって追越しが禁止されている場所はもちろんのこと、「道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近または勾配の急な下り坂」、「トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)」、「交差点、踏切、横断歩道または自転車横断帯およびこれらの手前の側端から前に30m以内の部分」です。

 これらを踏まえると、追越しをされる際に適した場所は、平坦である程度長い直線が続く道ということになりますが、やはりどこでもいいというわけではなく、注意点がいくつかあります。

 まず、前後の見通しがいいこと。とくに対向車線が隠れていたり、向こうからこちらの車線が確認できないような場所はやめましょう。さらに、道路の左に最大限寄せて停車して進路を譲る際に、住居や店舗の車両出口を塞いでしまったり、左側からくる歩行者や自転車などの通行を妨げたり、左に寄せても十分に追い越しができるスペースが確保しにくいような狭い場所は避けましょう。

 そして、適切な場所を見つけたら、後ろのクルマに「もうすぐ追越しをしてもらいますよ」という意思が伝わるように、減速し始める数秒前から左にウインカーを出します。そのままゆっくりと減速し、左に寄せて徐行または一時停止をして、すみやかに後ろのクルマが追越しを終えるよう配慮しましょう。

 一方通行の道などで、「右に寄ったほうが都合がよさそうなんだけど」という場合もあるかもしれませんが、道路交通法第28条では「車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない。」と定められておりますので、原則としては左に寄ることになります。歩行者又はほかの車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき、道路工事などで障害があるときなど、左に寄せることでかえって危険が生じてしまいそうな場合は、ほかに安全な場所を探しましょう。

 ただし、追い越す車両が路面電車や乗合バスといった場合など例外もあります。たとえば右折をするために右によっているバスを追い越す場合や、軌道が左側に設けられている場合などは、安全に十分注意しながら左から追越しをしてもよいということになっています。

 運転をしているとさまざまな状況に出くわすものですが、すべての運転の基本は「安全」と「円滑」です。遅いクルマも速いクルマも、自分の都合だけを考えて走るのではなく、どうすれば交通の流れ全体が安全で円滑になるのかを考えながら運転することが大切といえそうです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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