この記事をまとめると
■車両の不具合による事故を防ぐためにメーカーが修理を行うのが「リコール制度」だ
■リコールの内容によっては作業に数時間を要するなど時間がかかるケースもある
■リコールの案内が届いたら早めにディーラーへ連絡することがポイントだ
リコールは悪いことばかりじゃない
リコール制度とは何かを調べると、メーカーの自主申告により、当該車両の不具合発生の可能性について事前に監督官庁である国土交通省へ届け出をしてから、当該車両を回収して修理を行い、不具合や事故発生を未然に防ぐ制度ということになっていた。修理に関しては無償となるし、諸外国では「それで自分のクルマの不具合発生が防止できるのならば」と好意的に受け取められているのが一般的とも聞いている。
かつて日本では「リコール=欠陥」のようなイメージを強く抱く人も多く、販売現場での“闇改修”といった「リコール隠し」も目立っていたようだが、いまでは消費者のリコールに対する意識も変化しているものと筆者は感じている。
リコールが発生すると、当該車両のユーザーにリコールについての案内が届き、メーカー系ディーラーで作業することになる。
事情通は「短時間で作業が済むものもありますが、手間のかかるものもあります。整備工場のリフトを使って持ち上げたり、なかにはエンジンをおろさなければ作業できないケースもあるそうです。あるリコール修理ではリフトに載せて作業を行うこともあり、1台あたり3時間かかったみたいです。
いまは残業も厳しく管理されていますので、1日に3台やるのが限界だと聞きました。でも、ある店舗で販売した当該修理が必要な車両は200台を超えていたそうで、全数作業完了までは遠い道のりになると聞いたことがあります」とのこと。
ただし、事情通は、コンスタントに作業ができた場合としてさらに話を続けた。「この前聞いた作業では、リコール修理に部品交換が必要なのですが、この部品が昨今の諸事情から週に2~3台分しか店舗に供給されないとの話でした。つまり、さらに修理完了には時間を要することになるということらしいのです」とのことだった。
まだまだ思うようにモノを作ることができないなか、まさにイレギュラー的に交換対象部品を生産するのだから仕方がないともいえるのだが、販売現場の混乱はさらに深まっているようである。
「かもしれない」という、あくまで予防措置的なものがリコール改修となるものの、リコールに伴う修理が完了しなければ、不具合や事故発生リスクが完全に排除されているわけでもないのは当たり前。事実、因果関係は定かではないものの、「リコール対象車種で未修理車両が関係する事故が発生した」と大きく報じられたケースも過去にはある。
とりあえず自分の使っているクルマについてのリコールの案内がきたら、放っておかずに、まず担当ディーラーに電話して問い合わせることをおすすめする。交換対象部品の生産遅延などもあり、修理まで長期間待つことになる可能性もあるので、まずはとにかく早めにディーラーへ連絡をしてもらいたい。