映画で見る「パトカーの体当たり」はガチで行われていた! 日本とは全然違うアメリカ警察の装備や行動 (2/2ページ)

職質の際はトランクが閉じているかを確認!

 ただし、このPITマニューバは警官なら誰でもプッシュできるわけではなく、州ごとに定められた訓練や資格試験があるのだそう。たしかに、ぶつかり方に関しても力任せに体当たりしているわけでもなく、逃走車両の左右どちらかのリヤクオーターパネル部に接触(プッシュ)しゆっくりとハンドルを切るという動作は一朝一夕でできる技でもないでしょう。

 また、接触時の速度は50mph(およそ80km/h)以下であることなど、レギュレーションは厳密に定められているのです。これ以上のスピードだと、スピンでなくロールオーバーや車両同士の二次被害も想定されるためなんですが、50mph以上でのマニューバも動画で散見できるんですがね……。なお、日本に導入されないのはアメリカみたいに道幅が広くないから、というのがいちばん大きな理由でしょう。

 さて、アメリカの警察動画でもうひとつよく見るのが路上で車両を停めての職質シーン。で、この際に警察官が対象車両に近づいて、まずはリヤトランクが閉じているか確認しているところご覧になった方もいるでしょう。これは「トランクから賊が出てこないか」を確認しているわけで、また車両に手で触れることによって「警察官の指紋を残す」ことが奨励されているのです。

 これは「警官が車両とのコンタクトを取っている最中に、クリティカルな事象(銃撃、交通事故度)が起こって、警官が重篤な怪我を負ったり殺害されたりなどした場合に、調査官が物理的な接触の事実を確立できる」という理由。また、トランクというのも「リヤフェンダーは逃走時の事故などでもっとも破損しやすい箇所」とされているためだそう。

 ドラマでは止めたクルマに警察官が近づいていくだけでなにかのフラグを感じてしまうものですが、こんなトリビアを知っているとリアルな動画でもちょっとしたスリルを味わえるのではないでしょうか。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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