【試乗】ついに「N」がニッポン上陸! バカッ速EVのIONIQ 5 Nにヒョンデの神技を見た!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ヒョンデからIONIQ 5 Nが登場

■IONIQ 5 NはIONIQ 5をベースとしたスポーツモデルだ

■IONIQ 5 Nのサーキットでの試乗インプレッションをお届けする

WRCで活躍するマシンのようなエクステリア

 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいてインポートカー・オブ・ザ・イヤーを獲得した隣国韓国のヒョンデIONIQ (アイオニック)5。そのIONIQ 5をベースに「N」と呼ばれるスポーツモデルが登場した。今回、それを袖ヶ浦フォレストウェイサーキットで全開走行するチャンスを得られたのでリポートしよう。

 IONIQ 5には後輪2輪駆動のRRと前後アクスルにふたつのモーターを備え4輪を駆動するAWDのパワートレインがラインアップされているが、今回のNはAWDをベースに設定されている。また、84kWhの大容量バッテリーを床下に搭載し、長い航続距離と最大650馬力のシステム出力を授けられている。

 Nと呼ばれる所以は、開発の拠点となった韓国内R&Dの所在地である「南陽(ナムヤン)」と開発テストの舞台となった独「ニュルブルクリンク」から由来しており、今後、ヒョンデの高性能ブランドとして展開されていくという。

 外観的にはフロントマスク、バンパーデザインやサイドのガーニッシュ、ホイールアーチによるワイドフェンダー化、リヤエンドのアンダーガーニッシュなど、よりスポーティに仕上げ、WRCで活躍するヒョンデのマシンを彷彿とさせている。

 駆動用モーターの出力はフロントモーターが166〜175kW(NGB使用時)、リヤモーターは282〜303kW(NGB時)となっていて、最大トルクはフロントが370Nm、 リヤは400Nm(それぞれNGB時)という強力なものとなっている。システム出力としては最高650馬力、最大770Nmにもなる。モーターは最大2万1000回転/分、最高速度は260km/h。0-100km/h発進加速タイムは3.4秒(NGB時)を叩き出せるとメーカー公表値で謳われている。

 NGBとは「N Grin Boost」の略で、ステアリングに設置されるNGBボタンを操作すると10秒間、最大出力をブーストし最高性能が引き出せる仕組みだ。

 前後でふたつの駆動モーターをハンドリングや加速、あるいはサーキット走行などに適した配分で制御し、前20:後80〜前80:後20の範囲で駆動力配分を変化させ、ハンドリングとトラクション性能の両立を図っている。

 これほどの大出力、トルクを発するにあたり、サスペンションはもちろん車体のチューニングも行い、サーキット走行にふさわしいレベルに仕上げているというのだ。

 また、前後に275/35ZR21という大径のロープロファイルタイヤを装着。ピレリ社と共同で専用開発し、世界標準として装着されている。

 IONIQ 5 Nのディメンションは全長が4715mm、全幅はやや広く1940mm。全高は1625mmでホイールベースは3000mmも取られている。この長いホイールベースにより、室内の居住空間は非常に大きく余裕がある。とくに後席のスペースは全体的に広く、足もとのフラットなフロアは快適さを際立たせている。バッテリーをフロアにしまい込んでいるため、全体的にはキャビンフロア位置の地上高は高くなっているはずだが、ヒップポイントの低いシートを装着することで、スポーツカーのようなドライビングポジションを可能としている。

 室内に乗り込むと、このシートは非常に具合がよくあしらわれていることがわかる。クッションは硬めで、両サイドのサポート性に優れ、また表皮の手触り感も好感がもてるものだ。ダッシュボードに目をやると、大きなカラーモニターが横長で広がり、さまざまなファンクションやデータなど、走行情報を表示してくれる。

 3本スポークの革巻きステアリングはグリップがやや太く、さまざまなスイッチが配置されている。右側のスポークにはドライビングアシストに関わるものが並び、左側はオーディオや通話関係などの一般的な配置だ。加えて、左のスポーク上にはドライブモードを選択するスイッチ。右側のスポークの上には赤いマークでNGBと記されていて、これが約10秒間オーバーテイクブーストのような高出力を発揮させるスイッチだ。

 さらに左右にNマークの丸いボタンプッシュスイッチが備わっていて、左のNボタンでドライブモードを切り替える。また、右側のボタンはモードにより回生の強さを変更したり、仮想エンジンサウンドのオン/オフなどを行える。これらのスイッチを使いこなすには、取扱い説明書に目をとおして完全に覚えることが必要なため少し時間が必要だろう。

 スタートストップボタンを押すとシステムが起動しスタンバイモードとなる。通常の電気自動車と同様で静かな状態のスタンバイ状態となるが、右のNスイッチを押すとまるでエンジンが始動したかのようにアイドリング音が聞こえてくる。これはNのひとつのギミックとして、車体前後と室内にスピーカーを設置し、そこからエンジン音のようなサウンドを発生してドライビングプレジャーを高めるというものである。

 電気自動車は静かなのが一般的だが、なかにはガソリンエンジン車のサウンドを求めるユーザーも世界中には数多くいるという。そうしたなかでアイドリング状態からガソリン車のような音を聞かせてくれるのは珍しい取り組みといえる。

 この状態でアクセルペダルを煽ると、まるでエンジンを空吹かししているようなサウンドが響く。このサウンドもスポーツモードによって音量や音質が変わり、もっともスポーティなNモードを選択すれば、サウンドはより一段とレーシングライクなものとなり、また走行中の変速に合わせてもブリッピングしているような音が心地よく発せられるのである。

 ステアリング右手に設置されたレバーの回転式セレクトボタンでDレンジを選択し、アクセルを踏めば走り出すことができる。デフォルトのノーマルあるいはエコモードだと、もう本当に静かでエコな電気自動車であるが、サーキットを走るときにはNモードを選択し、スポーツ、スポーツ+モードにすることで、より能力が高まりサーキットにも相応しいケイパビリティが得られる仕組みを取っている。

 今回は袖ヶ浦フォレストレースウェイのサーキットを全開で走行することが許されている。IONIQ 5 Nにはローンチコントロールやドリフトモードも備えられていて、先にローチコントロールの作動を確かめ、またドリフトモードも試してみた。ローンチコントロールを作動させることによって0-100km/h加速は3.4秒(NGB時)という俊足で、これは誰でも簡単に引き出せる能力として与えられている。もちろん一般道でこれを使うことは許されないが、サーキット走行やジムカーナ走行においては有用なアイテムになるだろう。

 ドリフトモードでは前後モーターの駆動力配分が前20:後80からほぼ後輪駆動に固定され、ステアリングを切り込んでアクセルオンをすれば強大なトルクが瞬時にリヤタイヤを空転させ、まるでFR車のようにリヤをリバースさせる。あとはカウンターステアをあてアクセルコントロールをすることによって八の字旋回やドーナツターンなども自在に操れるといった具合だ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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