F3王者でF3000優勝経験もある中谷明彦が30年ぶりにフォーミュラを体験! マシンの進化の凄まじさをまざまざと見せつけられた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トムスはフォーミュラカーに乗れるプログラム「トムス フォーミュラカレッジ」を開催している

■2023年までFIA F4で使用されていたフォーミュラカーを使用

■初心者向け/中・上級者向け/エキスパートまでさまざまなコースを用意

フォーミュラカーに乗れるトムスの特別なプログラム

 スーパーGTやスーパーフォーミュラなど国内のトップカテゴリーで数多くのタイトルを獲得し、トップ・チームとしてモータースポーツ界を牽引しているトムス。常に若手の育成にも積極的に関与してチャンスを創出してもいる。

 その代表的なプログラムが今回紹介する「トムス フォーミュラカレッジ(TFC)」だ。

 TFCはFIA F4規格のフォーミュラマシンを使用し、ビギナーからトップカテゴリーへのステップアップを目指すドライバーにもチャンスを与えてきている。まだレースを経験したことのない完全なビギナーでもF4マシンに乗れる「エクスペリエンス・コース」があり、成績次第で上級の「アドバンス・コース」、最終的にF4レースにデビューできる「エキスパート・コース」まで、幅広いプログラムが用意されているのだ。

 そのなかの初級者向け「エクスペリエンス・コース」に参加させてもらった。僕は1988年の全日本F3チャンピオンホルダーでトップフォーミュラの全日本F3000選手権でも優勝。F1ブラバム・チームと契約した実績が過去にある。しかし、それは30年以上も昔の話。当時のフォーミュラカーはF3もF3000もF1も、Hパターンのマニュアルシフトトランスミッションを採用していた時代だ。

 近年はF4クラスからF1まで、フォーミュラカーはすべてステアリングパドル式のシステムを採用している。そのセミオートマチックパドルシフトレーシングマシンを操ってみたいと思っていたので、エクスペリエンス・コースでのF4マシン試乗は願ってもないチャンスとなったのだ。

 エクスペリエンス・コースは、富士スピードウェイ内のP2という駐車場広場にパイロンを設置した特設コースで開催される。P2は施設内でもっとも広大な広場だが、さすがにフォーミュラカーを走らせるには狭いのではないか、と思ったが、現地に着くとすでに仮設コースがパイロンで設定され、ほかの参加者が走行している。TFCはすでに大人気のプログラムとなっていてリピーター参加者も多く、2台のマシンは休む間もなく走りまわっている。

 走行前に簡単なレクチャーを受け、シート合わせをしてマシンに乗り込む。フォーミュラカーでの走行には個人専用の発砲シートを製作するのが常識だが、TFCのようなプログラムではそこまで追求すると時間もコストも大幅にかかってしまい、参加者の敷居が高くなってしまう。

 パイロン特設コースで低速であることは逆にシートセッティングでの妥協ができる上手い方法だ。幸い僕の体型ではほぼ問題ないポジションを得ることができた。

 TFCで使用するF4マシンは、2023年までFIA F4として国内のレースで使用されていたもの。DOME社製カーボンモノコックの車体にトムス製TZR42型2リッター直列4気筒自然吸気エンジンを搭載し、160馬力/5800rpmの最高出力を発生させている。トランスミッションは戸田レーシング社製6速で、いま風なレーシングステアリングに配されたパドルでシフト操作する。

 思わずほくそ笑んでしまったのはパドルシフトをフォーミュラカーで実際に使用するのは初めてだったからで、これこそが今日参加させてもらう最大の目的だったからだ。

 右パドルはシフトアップ、左はダウンで常識的なレイアウト。スタート時だけはクラッチペダルを踏み込んで1速に入れ発進する。走行中は2ペダルのみで、変速時にはクラッチ操作不要だ。

 2周の完熟走行の後、10分間のフリー走行となる。この間はインカムでインストラクターからさまざまな走行アドバイスが飛ぶ。本来なら2速ホールドで直線部だけ瞬間的に3速に入る程度のコースレイアウトで平均車速は低く、初心者でも安心に走れる。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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