「カスタム=インチアップ」って思い込んでない? あえて16インチを選択したヴェゼルのHuNTに乗って感じた「インチダウン」のメリットとは (2/2ページ)

インチダウンもさまざまな効果あり!

 さて、前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。2024年上半期におけるSUVのベストセラーモデルであり、4月にマイナーチェンジで進化したホンダ・ヴェゼルのトップグレードは18インチタイヤを履いている。そのトップグレードにはPLaYパッケージと呼ばれる都会的なコーディネートが設定されている。これはマイナーチェンジ前のPLaYグレードを進化させたものといえる。

 さらに、新しくなったヴェゼルではエントリーグレードにも「HuNTパッケージ」というアウトドア志向のアクティブテイストのパッケージが用意された。ここで注目したいのは、ヴェゼルのエントリーグレードは16インチタイヤを履いており、HuNTパッケージ仕様としたときもタイヤサイズは変わらないという点だ。ドレスアップを狙った仕様であればインチアップを伴うのはなかば常識とも思えるが、あえて16インチのままとしている。

 たしかにオフロード走行を想定したタイヤ選びにおいては、タイヤが変形して路面をとらえるようにするため高偏平タイヤを選ぶことが多く、むしろインチアップは走破性を下げてしまうという見方もあるが、ヴェゼルHuNTパッケージが想定しているようなアウトドアシーンはそこまでハードな走行性能を求めてはいないだろう。

 しかしながら、新型ヴェゼルの18インチ仕様と16インチ仕様を乗り比べた筆者には、HuNTパッケージをあえて16インチタイヤとしていることが正解だと感じられた。ちなみに前述したタイヤサイズはヴェゼルのそれで、あらためて記せば、225/50-18と215/60-16となっている。

 18インチタイヤを履いたヴェゼルは、50偏平ということもあってたしかにコーナリングはシャープで、SUVに期待する以上のスポーティなテイストを実現している。しかしながら、市街地を走っているときには、とくにFFにおいてコツコツとしたタイヤの硬さを感じることもあった。

 一方、60偏平の16インチタイヤを履いているヴェゼルでは、そうした硬さは感じられない。適度な柔らかさがシャシーとの好バランスにつながっており、けっしてハンドリングがダルくはないが、いい意味でのユルさがあった。アウトドアテイストのHuNTパッケージには、このタイヤのほうがキャラに合っているといえそうだ。

 クロスオーバーSUVであっても、ホイールサイズが大きい、インチアップしたほうがエライといった考え方もあるだろうが、あえて高偏平のインチダウンサイズを選ぶことのメリットをヴェゼルHuNTパッケージに試乗して再確認することができた。

 これはヴェゼルだけにいえることではないだろう。SUVであればホイールサイズが小さいほうのグレードを選ぶのもいいだろうし、上級グレードのオーナーがあえてインチダウンを検討するというのもアリかもしれない。

 ただし、冒頭でも記したように、ホイールサイズの選定はブレーキシステムを収めることも考慮されているので、インチダウンするときにはブレーキとホイールが干渉しないことを確認する必要がある。純正で設定されている範囲でのインチダウンや、ホイールを試着できるショップを利用するなど、注意してインチダウンカスタマイズを楽しんでほしい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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