両車の共通点からアルピナらしさを実感
よりスポーツカーらしい「GT」
そのあとにB3 GTに乗ると、コチラのほうがスポーツカーらしい味付けになっている雰囲気だ。エンジンスペックは最高出力が34馬力向上し、529馬力となっている。これは、エンジン制御の変更によって行われているもの。フラットトルクは変わらずにあるが、トップエンドのひと伸びというか、高回転域でのパワー感はコチラのほうが感じられる。
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ハンドリングも全体的にB3 GTのほうがシャープな印象となっている。これはリヤスタビライザーがハードなものへと変更されているのが大きいのかもしれない。アルピナはB3とB4で異なるセットアップとなっていて、ノーマルのB3との直接比較ではないので、一概にはいえないが、「GT」が冠されるほうが、若干ではあるがハイパフォーマンスカーらしい乗り味を味わえるといえる。
両車から感じたアルピナらしさ
しかし、どちらにも共通していた部分がいくつかある。これらのポイントが「アルピナらしさ」なのかもしれない。
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まず驚かされるのはボディ剛性だ。ベースとなっているBMWモデルのボディ剛性が高いのも恩恵としてありそうだが、サスペンションがよく動いて路面からの入力を上手く受け止めている感触。そして何より高速域でもリラックスして巡行できそうな雰囲気が両車ともにあり、普通に乗っていてもボディがガシッとしているのが伝わってくる。
次にパワートレイン。今回の2台はややキャラクターの違う味付けになっていたが、共通していたのがレスポンスのよさ。スロットルコントロールに対して素直に反応し、歯切れのいい変速に対して素早くブリッピングしてくれる。動力性能はもちろんだが、このパワートレイン全体のシームレスかつ良好なレスポンスは、コンフォート性能にも寄与していそうだ。
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そして、乗り心地にも注目したい。実際、アルピナは乗り心地のよさが評価されている。今回乗ってみると、ショーファーカーのように驚きや上質な乗り心地とまではいかなかったが、上級サルーンの非スポーツグレード並みの乗り心地を実現しているとは感じる。ただ、冷静に考えてみると、ここまでのハイパフォーマンスカーでありながらその領域を実現しているのは素晴らしいことだ。しかもリヤには285/30ZR20という超扁平タイヤを装着していながらのこの乗り心地。凄いとしかいいようがない。
この乗り心地のよさはボディ剛性の高さが影響していると思うが、それはアルピナのチューニングだけではなく、BMWの素性のよさもある。アルピナがBMWを素材として選ぶのも納得できる時間であった。