バカっ速だけどジェントル! BMWに魔法をかけた「アルピナ」って何? (1/2ページ)

BMWに満足できないファンのための究極の品質を持つクルマだ

 BMWのアルピナは、年間1200~1700台前後しか製造されない(日本へは約300台にすぎない)、アルピナライン(デコセット)と呼ばれるボディサイドのデコレーションラインでもBMWと識別できるマニア垂涎の希少性もあるスペシャルモデルだ。そんなアルピナはBMWとどう違うのか?

 そもそもアルピナとは、ドイツのバイエルン地方で創業。創業者一族がBMWをチューニングし、それが話題になり、BMW公認のチューナーとなったのが始まりだ。以来、ヨーロッパのツーリングカー選手権で活躍し、1983年にはドイツで自動車メーカーとして公認。つまり、BMW本社の保証も受けられる(もちろん日本でも)、BMW車をベースにしたエンジニアリングとハイ・エンド・モデルの製造を行う、れっきとした自動車メーカーなのである。

 アルピナの製造は、BMW本社からボディなどを譲り受け、マイスターによる手作業で組み立てられるエンジンが、創業当時からのアルピナ・ワークショップの中核。精度に対する情熱と熟練の技術を持ったクラフトマンが徹底的に吟味し、合格とみなされたパーツだけが使用され、1台につき1人のマイスターが完成後のテスト走行まで行っているのも大きな特徴だ。

 価格はBMWより高価になるものの、BMWに満足できないBMWファンのためにある、究極の品質を持つクルマと言っていい。よって、フルオーダーが基本で、納車まで多くの時間を要するのもアルピナならではである。

 そんなアルピナの最新ニュースとして挙げられるのが、BMW3シリーズをベースに製造されているB3がドイツ・パフォーマンス・カー・オブザ・イヤー2021、日本カー・オブ・ザ・イヤー・パフォーマンスカー・オブ・ザ・イヤー2020-2021をダブル受賞したことだろう。聞くところによると、B3の2021年の受注はすでに完了。今から注文しても、もしかすると納期は来年……という少量生産ならではの人気ぶりなのである。

 ここでアルピナB3について説明すると、3の数字が示すように、BMW3シリーズ、それもM340i x Drive(日本国内価格987万円)をベースに、アルピナが仕立てたスペシャルなモデル。

 エクステリアでは、マニア垂涎のアルピナストライプ(オプション)が入り、リップスポイラー、4本出しマフラーが特別装備される程度で、20本スポークの鍛造アルピナクラシックホイールとピレリP ZEROのF255/30ZR20、R265/30ZR20サイズのタイヤが奢られるものの、いたってジェントル、いや、エレガントと言っていいほどの佇まいを見せる。

 インテリアにしても、華美な装飾こそなされていないものの、4段階から選べるトリムレベルによって、好みの世界を手に入れることができる。幸運にも市場できた試乗車は、レザーステアリングの上部に、ボディカラーと同じダークグリーン色があしらわれるなど、カスタマイズは自由自在なのだ。

 ちなみに、車体番号は、BMWの文字列を消して、その下に新たに打ち込んでいたりするこだわりがある。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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