2025年の初陣をポール・トゥ・ウィンで飾った
そんな2025年仕様のハイパフォXの初戦となった、スーパー耐久第2戦・鈴鹿5時間レース。
練習走行ではマシンセッティングを行いながら、今回から投入した技術の確認なども行った。コースアウトすることもありヒヤっとした瞬間もあったが、冷静に対処し事なきを得た。
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BRZ時代は、TOYOTA GAZOO Racingが開発を行ってきた「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」が直接的なライバルだったが、ハイパフォXにマシンチェンジを行ったことで、現在のライバルはマツダの「MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept」となる。ディーゼルエンジンのSKYACTIV-D 2.2にディーゼル代替カーボンニュートラル燃料を使ったマシンだ。
※写真は2024年度参戦車両
Aドライバー、Bドライバーの合算でタイム計測が行われる予選では、ハイパフォXが合算で4分34秒820、マツダ3が4分35秒107とわずかながらハイパフォXが上まわり、初めてのクラストップを手に入れた。
決勝のオープニングラップでは、ハイパフォXが前車に追突し左フロントを軽微ながら損傷するアクシデントが発生したが、幸いマシンに問題はなくそのままレースを続行した。
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今回の5時間レースでは、多くのマシンがトラブルやクラッシュなどに見舞われ、それらを解消するためのFCY(フルコースイエロー)が8回も出る大変荒れたレースとなった。
ハイパフォXとマツダ3は、ドライバー交代のたびに順位が入れ替わる激しいレースを行い、最終スティントではマツダ3が先行する状況だった。しかしながら、最後の5分でマツダ3にトラブルが発生してコース脇で停止。ハイパフォXがクラストップになってチェッカーを受け、ST-Qクラス初のポール・トゥ・ウィンとなった。
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ハイパフォXのチーム監督兼チーフエンジニアの伊藤 奨氏は、「オフシーズンでの開発が少し遅くから始まったこともあり、今回の自分達の開幕戦にはすべてを盛り込むことはできませんでしたが、軽量化や新しい制御も入れてきました。レースは結果的にクラストップにはなりましたが、コーナーでのアンダー傾向が強く、うまく曲がらない状態もありしました。練習走行のデータを見ながら現場で合わせ込み解消できた部分もありますけど、もう少し考える余地がありそうです。すぐに富士24時間に向けての公式テストがありますし、5月末には本番の24時間レースがあります。ハイパフォXは初めての24時間レースなので信頼性を高めるようにしていきたい」と語った。
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チーム代表の本井雅人氏は、「テストコースでセッティングを出してサーキットにもち込んできていますが、それでは足りない部分もありました。プロドライバーの井口・山内両選手と社員ドライバーの伊藤・花沢との差はありますが、ジェントルマンドライバーでも意のままに操れる車作りもしていかないといけません。プロが求める100点にはなかなか行けないですけど、それでも少しでも近づけるようにみんなが努力しているところです。アンダー傾向が強く曲がりにくいクルマになっており、プロが求める曲がるクルマと、車体や空力、AWD技術などで実現可能な部分の折り合いを見つけながら、どうのようにしていったらいいのかを、より考えて行かなくてはならないと思います。エンジンやAWD制御などもまだまだやることが多くあります。すぐに富士24時間レースが行われます。今回は5時間レースだったからよかった部分もありますので、24時間レースにむけて短い時間のなかでいろいろやらなくてはならないと思います」とコメントした。
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今回の5時間レースでは、レース中にトラブルも発生せず順調に周回をこなしていたが、いろいろな課題を見つけており、それらをいかにして克服していくのだろうか。始まったばかりのハイパフォXの2年目の戦いに注目していきたい。