残念ながら人気は出なかった……その理由は?
その理由をひとことで表現すれば、やはり「不人気」だったということになってしまうのですが、ゴルフバッグが余裕で積める大容量ラゲッジや、チャイルドシートを装着しても大柄な人が乗っても余裕のキャビンスペースといった機能性。それに加え、大切なゲストを迎えるのに相応しい上質感を手にしつつ、BMWらしいダイナミクス性能とロングドライブの快適性を手にいれることができるモデルとして、コアなファンは多かったはず。欧州では、空港やホテル、ゴルフ場などの送迎車としての需要も高かったと聞いています。
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ではなぜ、グランツーリスモはなくなってしまったのかと考えると、それは「セダン時代からSUV時代への橋渡しを担ったモデルだったから」という答えがもっともしっくりくるのではないかと思います。
2000年代はまだ、ビジネスやフォーマルなシーンでは「セダン」が王道だった時代。そういうシーンで「SUV」が登場することには抵抗がありました。でも、広いキャビンや大容量のラゲッジというSUVの機能性はほしい。そこで、セダンに近しい見た目を維持しながらSUVのいいところをプラスするというのは、しっかりとマーケティングをしているメーカーであれば自然な流れです。
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でも、ただ機能性を加えるのではなく、BMWの哲学からブレないモデルに仕上げているところが、ほかにはないグランツーリスモらしさだと感じます。
いまとなっては、世界的にSUVが王道になりました。ホテルのエントランスにSUVが乗りつけても誰も違和感を覚えない時代です。グランツーリスモは、しっかりと橋渡しの役割を終えたということになるのでしょう。