6年振りに訪れた上海の街から「フォルクスワーゲン」が消えた! とはいえ中国国内の販売台数は多く「VW」はどこにいるのか? (2/2ページ)

中国民のブランド指向の変化で自国車が急増

 そうはいっても、一汽大衆と上汽大衆を合わせると、中国国内における2024暦年締め年間販売台数において、ブランド別販売ナンバー1となっている(販売台数では一汽大衆のほうが上となっている)。それでは、上海で見かける機会がめっきり減っているということは、どこで売れているのか? ラインアップをみるとICE車がまだまだ幅を利かせているので、内陸部などでよく売れているのかもしれない。

 アウディはフォーリングスをもたない新ブランド“AUDI(フォーリングスの代わりにアルファベット大文字のロゴが入る)”初の量産モデル“E5スポーツバック”を今回の上海モーターショーで発表した。景気低迷のためなのかショー会場周辺には出展企業の広告が激減しており、ほぼアウディのみが広告を掲示していた。ショー会場のアウディブースには招待客らしき中国人がこれでもかと溢れていた。あるひとは“アウディは中国メーカーと勝負に出た”と語った。

 VWはいち早く中国で現地合弁企業を立ち上げ、初代サンタナの現地生産をはじめている。アウディも早くから政府高官などの偉いひとのクルマとして使われた。そのため、中国のなかではオジサン世代が若いころに憧れていたブランド、つまり若い世代から見ればオールドブランドに見えてしまっているのである。さらに実直なメーカーらしいクルマ作りがいまも続き、押しの強いエクステリアやデジタルディスプレイを多用した内装など、華のある中国メーカー車に比べると見劣りする部分も目立つ。

 そもそも、過去には自国ブランドに恥ずかしさを感じていた中国の消費者が、いろいろあるのだろうが自国ブランド車を好んで乗るようになったことも、VWだけではなく外資ブランド車が減少している背景にあるのは間違いない。

 今回の上海ショーではとにかく気合いの入ったVWグループの様子を肌で感じることができた。再び上海市内がVW車で溢れることはあるのだろうか。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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