「BEVバスへの入れ換え? そんなお金ないよ!」 経営が苦しい「バス事業者」の本音 (2/2ページ)

いまある車両を有効活用する業者が増えている

 ところが、多くのバス事業者では、新型コロナウイルスが感染拡大したときに受けたダメージ(利用者の大幅減による収益源)が癒えていないところがほとんどであり、中古車であろうがなかろうが、そもそも車両更新ができない事業者も多数いるようだ。そのため、BEVバスのラインアップが充実する一方で、リビルトパーツ関連業界も盛り上がりを見せているのである。

 前述したバステクフォーラムでも、リビルトトランスミッションを扱う会社が初めてブースを構えたほか、リビルトパーツだけではなく中古バス車両を販売する業者や、セルモーターやオルタネーター、ターボチャージャーなどの各種パーツのリビルトを請け負う業者も出展していた。ほかにも、インジェクターやDPF(排気ガス中に含まれる煤などの粒子状物質を除去するための装置)の洗浄ビジネスも、予想していたよりニーズがあるとのこと。

 車両の継続使用が増えたのを受け、リビルトエンジンの販売を新たに始める業者もいるとも聞いている。

 つまり、「車両更新をするほど余裕がないので、延長して使用するために現有車両に手を加えよう」という動きも目立ってきているのである。

 このような車両更新をせずに延長して使用する動きは、タクシーでも同じだ。東京など都市部ではトヨタJPNタクシーが目立っているものの、地方部ではトヨタ・クラウン系(コンフォートやその時代のセダン)がまだまだ現役で走っている。

 働き手不足解消は自動運転で……という話も最近は多い。導入後は確かに人件費も減るかもしれない。しかし、初期導入コストが負担できなければ話にならないことはもちろん、果たして初期導入コストを捻出できるタクシーやバスといった旅客運輸業者がどこまでいるのか?  そこの解決には補助金交付などが必要ともなるが、それでもどこまで導入に前向きになる事業者が出てくるのか。

 いまのBEV車両導入や現有車両の使用延長といった話を聞くと、我々が描きがちな、街なかのバスやタクシーがすべてBEVになり、そして自動運転になるという風景は、技術の進化だけでは解決できない問題があることも物語っているように見える。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報