この記事をまとめると
■現在でも日本を代表するスポーツカーに数えられる初代ホンダNSX
■1992年に追加されたNSX-Rは軽量化を施したモデルとして人気が高い
■イギリスのオークションでNSX-Rが1億5000万円超のプライスで落札された
バブル期に誕生した日本を代表するスポーツカー
後に「バブル」と呼ばれることになる好景気の頂点を迎えていた1989年、ホンダから1台のスポーツカーが誕生した。New SportsCar X を意味する「NSX」という車名が与えられたモデルがそれだ。
現在でも日本を代表する記憶に残るスポーツカーは何かと問われれば、このNSX、正確には1990年から2005年まで販売が継続された、初代NSXの名前をあげるファンも多いだろう。確かにそれまでのホンダ車、いや日本車のなかにさえなかった特別なバリューを秘めた1台だった。
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ホンダがNSXの開発時に掲げた志はとても高いものだった。直接のライバルとして意識したのは、スポーツカー、いやスーパーカーの世界において絶対的なブランドバリューとパフォーマンスを誇っていたフェラーリ。3.2リッターのV型8気筒エンジンを横置きミッドシップし後輪を駆動するMR形式のパワートレインを、ピニンファリーナによる流麗なボディで包み込んだ328シリーズが、NSXの開発時には常に比較対象になったことは確かだろう。
はたしてホンダはこのフェラーリ328シリーズに対して、どのようなエンジニアリングで挑んだというのか。
選択したのはやはりMRのパワートレインを採用することだった。ファーストモデルとして誕生したNSXには、3リッターの排気量が設定されたV型6気筒エンジンが、328と同様に横置きミッドシップされ、最高出力は280馬力を発揮。リヤオーバーハングの長さが印象的なモノコックボディは世界初のオールアルミニウム製で、それは軽量化とともに高剛性化に大きく貢献した。
ホンダNSXののエンジン画像はこちら
NSXはホンダの理想とするべきエンジニアリングをストイックなまでに追求した、誰の目にも本物と映るスポーツカーだったのだ。