この記事をまとめると
■タミヤ直営店1周年記念で伝説の6輪F1「タイレルP34」の実車を展示
■1976年のF1日本GPで2位に入賞した車両が再び東京で脚光を浴びる
■革新的な設計と記憶に残る活躍でいまも多くのファンを魅了しつづけている
唯一の実戦投入された「6輪F1」
日本が世界に誇る模型メーカーであるタミヤが、その直営店「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」のオープン1周年を記念し、タミヤ本社で保存されている「タイレルP34」の実車展示を、同店で2025年5月20日(火)から6月30日(月)まで実施しているのはご存じだろうか。
F1史上、実戦投入された最初で最後、空前絶後の6輪マシンだったタイレルP34のインパクトは絶大で、現在50代、60代のクルマ好きなら、タイレルP34のプラモデルやグッズを複数購入した経験があり、いまでも思い入れが強い1台となっていることだろう。
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このタイレルP34、単なるイロモノではなく、1976年のデビュー戦(第4戦スペインGP)で予選3位。第5戦ベルギーGPで4位入賞。第6戦モナコGPでは2・3位とついに表彰台に上り、第7戦スウェーデンGPではワンツーフィニッシュを達成(ポールポジションも獲得)。
また、日本で初めて開催されたF1レース、「F1世界選手権 in Japan」(1976年、富士スピードウェイにて)にも出走し、2位に入賞と結果を残している。ちなみにタミヤが所有している実車は、この富士で2位に入賞した個体そのものだ!
「F1世界選手権 in Japan」では、日本のファンのためにボディカウルに「たいれる」とひらがなのステッカーを貼り、「しえくたあ」(ジョディ・シェクター)、「どぱいえ」(パトリック・デパイユ)とドライバー名のステッカーもひらがなで貼り付けられたことで、親近感を増した人も多かったはず。
「F1世界選手権 in Japan」の際のタイレルP34画像はこちら
このタイレルP34、伊達や酔興で6輪マシンになったわけではない。その設計者はタイレルのデザイナー、デレック・ガードナー。当時、フェラーリを除くほとんどのチームは、コスワースDFVエンジンとヒューランド製のギヤボックスを採用していたので、車体の部分でライバルに対しアドバンテージが得られるよう、デザイナーたちはアイディアを競った。
そうしたなか、デレック・ガードナーは、フロントタイヤを小型化し、スポーツカーノーズの後ろにすっぽり収まるようにして空気抵抗を減らすプランを考案。10インチになったフロントタイヤでは、タイヤのキャパシティが足りないので、それを2本ではなく4本にして補う革新的なデザインを採用したのだ。
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