若手が奮闘する注目株
7号車:CARGUY MKS RACING
CARGUY MKS RACINGは、かつてはディレクシブやMOLAを率いた女性監督、芳賀美里氏が率いる新体制のチームだ。一度レース業界から離れていた芳賀監督は、Yogibo Racingの監督として2021年に復帰。同チームは一昨年限りで活動休止となったが、その後も芳賀氏はYogibo Racingの参戦権を保有し続け、復活を模索していた。

じつは芳賀氏はDJとしての顔も併せ持っているのだが、そこで関わりを持ったのが、不動産で財をなした実業家であり、レーシングチーム『CARGUY Racing』を率いる木村武史氏。この縁が巡り巡ってて、“CARGUY MKS RACING”というジョイント体制でのGT300復帰に繋がることになるのだから人生は数奇なものだ。
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車両は最新鋭のフェラーリ296 GT3で、ドライバーはともに今季スーパーフォーミュラにデビューしたザック・オサリバンと小林利徠斗という、見る者をワクワクさせるパッケージ。第2戦富士では4位入賞を果たすなど、すでに結果もついてきている。芳賀監督はそんなチームについて「先が見えない!」という言葉でポテンシャルの高さを表現した。
昨年まではウイリアムズの育成ドライバーとしてFIA F2に参戦していたオサリバンは、貫禄のある風貌だがまだ20歳と若い。彼からは意外な趣味があることが明かされた。
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「おそらくみんながあまり知らないと思うのが、僕のアーティスティックな一面だ。フォトショップなどを使ったグラフィックデザインが好きで、ヘルメットのデザインも自分でしている。ヨーロッパでは、マシンのリバリーやスーツも手がけたりしたよ」
トヨタ育成のホープである小林も、7月に20歳を迎える10代のドライバー。そのあどけないルックスが印象的だが、その独特な語彙や言葉のチョイスからは隠しきれない聡明さがにじみ出る。聞くところによると、山形の進学校出身とのこと。納得の経歴だ。そんな小林は最近フォーミュラでの活躍が著しいが、じつはかなりの箱車好きなのだという。
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「箱車って生活の一部ですし、自分も田舎出身でクルマが身近にありましたから、自然と好きになりましたね。レースをやっている人のなかには、レースは好きだけどクルマはそれほどでもない……という人も意外に多いと感じています。むしろ、クルマが好きな僕はもしかすると少数派なのかもしれません。どちらかというと、ドライバーさんよりメカニックと話が合ったりします。買えるかどうかは別として、トヨタ車であればスープラが好きですね。ほかにもいろいろなメーカーを見てきたので、乗ってみたいクルマはたくさんあります」
そのほか、第3、第4ドライバーとしてチームを支えるのはジェントルマンドライバーの木村とベテランの澤圭太だ。
大きな成功を収めた実業家である木村は、道楽でレース活動をするステレオタイプ的なアマチュアとは一線を画し、レース活動をビジネスの一環と位置付けて高みへの挑戦を続けている。そのため、彼は以前に自身のことを「遅いプロドライバー」と表現したことがあった。
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澤は現役のレーシングドライバーでありながら、ドライビングレッスンやレース解説など幅広く活躍している。そんなオールラウンダーぶりも手伝ってか、芳賀監督も「(澤は)きめ細やか。いろんなところに気がつくんです」と目を細めていた。
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個性豊かなメンバー体制でシーズンを戦うチーム「CARGUY MKS RACING」からは今後も目が離せそうにない。
