ついに終了する日産R35GT-R! 18年を経て究極の姿に進化した国産最強モデルの伝説を追う (3/3ページ)

モデル末期まで進化しつづけた

日産開発陣の執念で規制をクリアし、R35GT-Rは最後まで進化の手を緩めなかった

 2022年モデルで終了と噂されたGT-Rであったが、2023年1月の東京オートサロンに2024年モデルを発表。最大のトピックはジェット機エンジンの技術を用いた新構造のマフラーの採用。これにより当時の社外騒音規制をクリアしたことで、継続生産を可能とした。加えて前後バンパー、リヤスポイラーを変更。最新フェイスリフトにより、ダウンフォースを最大13%向上。空力性能を大幅に強化した。さらにNISMOには扱いやすさも加味したメカニカルLSD付きフロントデフが導入され、トラクション性能と旋回性能を進化させるなど、ドライビングプレジャーの追求は最後まで続けられた。

 また、18年間で数多くのグレード、限定車も用意された。いくつか例を挙げると、サーキットを含むスポーツ走行を楽しむために用意され、国産車初のカーボンブレーキ装着車となった「スペックV」、サーキット専用車両の「クラブトラックエディション」、オーダーメイドのようなインテリアを楽しめた「エゴイスト」、スペックVに変わるスポーツ走行好きのユーザー向けの「トラックパック」や「トラックエディションエンジニアードbyNISMO」などをリリース。多様化するオーナーの要望に対応したモデルを設定した。

 限定車は、開発責任者が田村氏に変わった2013年以降にも登場。前述した「T-spec(限定は2022年のみ)」のほかに、100台限定で登場した「スペシャルエディション」を皮切りに、R34のシリカブレスを採用した「45thアニバーサリー」、3色のカラーと3色の内装が選択できた「大坂なおみ選手日産アンバサダー就任記念モデル」、50周年を記念した「50thアニバーサリー」などが登場。GT-Rの歴史に華を添えている。

R34型のような最終限定車はなしだが、ブランド価値を欧州スポーツに近づけたのが一番の功績

 最終型となった2025年モデルは、プレミアムエディションのファッショナブルインテリアに新色のブルーヘブンの追加と、T-specにNISMO スペシャルエディションと同じ、高精度重量バランス部品を組み込んだファインチューンエンジンを搭載したのみ。R34型GT-RのNürのような最終限定車は用意されることはなかったのは残念だ。

 2007年から2025年に至る18年間、R35GT-Rは一度もフルモデルチェンジせずに存続した。その理由はさまざまあるが、継続的な熟成と改良により、すべての粒が揃い、このパッケージでは完成形と呼ぶにふさわしい領域まで磨き上げられ、昇華した。R35GT-Rの一番の功績は欧州の歴史あるスポーツカーとブランド価値を近づけたことにある。つまり、R35はひとつの時代を象徴するスポーツカーになったのだ。


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