似ているようで驚くほど違うエンジン
そして、NA仕様のR06AとR06Dのスペックを比べると、効率重視で進化したさまが伝わってくる。
型式:最高出力:最大トルク:圧縮比
R06A:36kW(49馬力)/6200rpm:60Nm/4000rpm:11.3
R06D:36kW(49馬力)/6500rpm:58Nm/5000rpm:12.0
注目してほしいのは圧縮比だ。経済性が重視される軽自動車ゆえに、使用燃料は当然レギュラーガソリンとなり、高価な直噴システムも使えないが、それでいて12.0という高い圧縮比を実現しているのは、R06Dを生み出したスズキの技術力のたまものだ。
また、NAエンジンのR06AとR06Dのスペックを見比べると、パワーやトルクの発生回転数からR06Dのほうが高回転志向にも見えるが、実際にドライブすると真逆の印象になるのもおもしろい。
具体的には、NA仕様のR06Aはレブリミットがなければ7000rpmあたりまでまわっていきそうな回転フィールだが、R06Dのほうにはそうした元気さはない。そのかわりに、アクセル踏み始めからトルクを生み出しているフィーリングが強いのだ。
R06Dエンジンを搭載するスズキ・ワゴンRスマイル画像はこちら
もちろん、FF系乗用モデルに搭載されるR06DエンジンのほとんどがCVTとの組み合わせで、モーターアシストの効いたマイルドハイブリッド仕様となっていることも多い。そのため、豊かなトルク感のすべてをエンジンが生み出しているといえないかもしれないが、ロングストロークらしい低速トルクこそR06Dの特徴といえそうだ。
個人的には、ロングストロークのR06Dのターボ仕様も味わってみたいと思う。電子制御ターボチャージャーを組み合わせれば、軽自動車としては最高峰レベルのフラットなトルク特性を期待できそうだ。
もっとも、現状のR06Aターボであっても十分に低速域からトルクを感じられるし、まわしていくと弾けるような感触も残っているから、あえてロングストロークのターボエンジンに変えなくてもいいのかもしれない。
R06Aターボエンジンを搭載したスズキ・アルトワークス画像はこちら
NAとターボそれぞれの特性にマッチするよう、異なるボア×ストロークのエンジンを使っているというスズキのこだわりを評価すべきだ。