この記事をまとめると
■2026年のF1は安全・環境・迫力の三拍子を目指し大変革へ踏み切る
■車体は軽量小型化し、電動パワー増強で接近戦が増加する見込み
■新パワーユニットでホンダやアウディなど参戦体制も刷新される予定だ
2026年にF1が大きく変わる
来年、2026年はF1のレギュレーションが大きく変わるシーズンを迎える。その変更の目的はいくつかあり、ひとつはより安全に、そしてよりエキサイティングに、さらにサステナビリティを考慮したF1を目指すという内容になっている。
安全面でいえば、前面衝突に2段階構造が義務付けられる。これは最初の衝突後、その後の衝突に対してもマシンの安全が保護される構造を求めたもの。、側面衝突保護の強化や、リヤウイングエンドプレートライトの視認性向上なども盛り込まれた。
また、速すぎるコーナリング速度を抑えるために、ダウンフォースは30%減少。フロントタイヤの幅は25mm、リヤタイヤの幅は30mm縮小される(いずれも2022年比)。
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よりエキサイティングにというのは、つまりオーバーテイクの機会を増やす方向性。まず電動パワーを一時的に増加させてオーバーテイクをしやすくするマニュアル・オーバーライド・モードを導入。空力面では、アクティブ・エアロダイナミクスという可動式のフロントウイングとリヤウイングの採用が認められ、ストレートでの空気抵抗を低減。
車体の寸法も、ホイールベースは最大 3600mmから3400mmに短縮され、幅は2000mmから1900mm に、最大フロア幅は150mm縮小される。マシンがコンパクトになることで、コース幅の狭いサーキットでもオーバーテイクのチャンスが増えるかもしれない。車体の最低重量も現行の800㎏から768kgまで軽くなるので、2026仕様のマシンは軽量コンパクト化されることになる。
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そして、もっとも変わるのがパワーユニット。1.6リッターV6直噴シングルターボエンジンがベースであることには変わりがないが、ICE(内燃エンジン)とMGU-K(モーター)の出力の割合が50:50になる。ターボチャージャーの熱エネルギーを電気エネルギーに変換するMGU-Hが廃止されるので、エンジンパワーはダウンすることになるが、そのかわりモーター出力が約3倍になる。
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加えて、ブレーキング時に回生できるエネルギー量を倍増し、1周あたり8.5MJのエネルギーが回生可能となる。燃料も、現在すでにエタノール・バイオ燃料を10%の「E10フューエル」を使用しているが、2026年からはガソリンなど石油系の燃料ではなく、100%サステナブル燃料を使用することを義務づけ、燃料流量も制限される。