受注停止中に100万円高い特別仕様車を出して秒で売り切れ! 標準車はずっと受注停止だけどシビックタイプRってこのまま消滅!? (2/2ページ)

シビックタイプRの今後の見通しを知りたい

 最近は原材料費などの高騰で値上げが続くが、そこを踏まえても、価格アップは多く見積って50万円以内に抑えるべきだった。内訳は特別仕様車の価値が30万円、原材料費の高騰などに基づく値上げが20万円だ。

 あくまでも邪推だが、100万円値上げした背景には、中古車価格の高騰もあっただろう。現在のシビックタイプRの中古車価格を見ると、580万〜600万円少々の車両が多く流通しているからだ。中古車のプレミアム価格に合わせて、グレードの販売は再開せずに、約600万円に値上げしたシビックタイプRレーシングブラックパッケージだけを投入した。

 この売り方は本末転倒だ。そもそもシビックタイプRの生産と納車が順調に行われれば、転売や中古車価格の高騰も発生しなかった。したがって販売を再開するなら、100万円高い特別仕様車ではなく、肝心な標準グレードのシビックタイプRだった。それなのに100万円高い特別仕様車を投入したから、ホンダが転売と中古車価格の高騰を肯定したことになってしまう。

 2025年6月下旬、今後のシビックタイプRの動向を販売店に尋ねると、以下のように返答された。「シビックタイプRの受注は、いまはすべて停止している。すでに受注している車両の納車が完了するのは、特別仕様車のシビックタイプRレーシングブラックパッケージが2025年の末で、標準グレードのシビックタイプRは2026年3月ごろだ。そうなると納車完了のメドが立った2026年1〜2月ごろに、受注を再開する可能性もある。しかし、そのままシビックタイプRが消滅することも考えられる。メーカーからは何の連絡もなく、お客さまの問い合わせに対応できない」。

 ホンダは販売店に今後の見通しを明らかにすべきだ。そうしないと、ユーザーと販売現場を困らせてしまう。100万円高い特別仕様車の設定も含めて、ホンダはもう少し、ユーザーと販売現場を大切にすべきだ。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
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13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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